プロ野球担当の記者になると、不思議なことが起きる。同じ会社の人間には、めったに会わない。その代わり、ライバル他社の同じチームの担当とは毎日、顔を合わす。
偶然、サッカー担当・邨田直人に遭遇した。1年近く、顔を見ていない気がした。昨年まではトラ番だった男。2023年のリーグ優勝、日本一の取材を経験し、入団以来、森下の記事も書きまくっていた。
「もちろん、いつも阪神のことは気にして、記事も欠かさず読んでいますよ。森下は、頼れる打者に成長していますね。DeNA・牧のような。ボクが担当だった時期は、牧に痛い目に遭った。今年は他球団が森下に痛い目に遭わされたんじゃないですか」
阪神のリーグ優勝を喜びつつ、今はサッカー取材で多忙を極めている。Jリーグでは関西地区のチームが担当。ということは、3連覇を狙う神戸や、悲願の初優勝を目指す京都が、邨田記者の主たる取材対象チームだ。
「10月の戦いが運命を分けるでしょう。特に京都は…」
ここは「虎のソナタ」なので、Jリーグの展望記事に行数を費やすわけにはいかないが、京都サンガには特別な郷愁を感じる。
京都がJリーグに参戦したのは1996年。戦前から苦戦は予想されたが、開幕戦(3月16日)で黒星スタートすると、そこからなんと17連敗。初勝利は6カ月後の9月7日だった。サポーターは地獄の日々。おりしも、阪神も暗黒時代の真っただ中。戦力が整わない中、藤田平監督が悪戦苦闘するも、最下位だった。
当時のサンスポの部長が「サンガの連敗は、130試合制(当時)のプロ野球でいえば開幕73連敗や」と謎に興奮。トラ番キャップ(筆者です)は「ガンバレ、阪神! 負けるな、サンガ!」という記事を書かされた。どう考えても、傷のなめあい!?
2年ぶりのリーグ優勝を果たした藤川阪神は、今や、常勝軍団への道を歩みつつある。京都にも、ぜひ、大輪を咲かせてもらいたい。
トラ番にもサッカー大好きは多い。代表格は渡辺洋次だ。
「京都? う~ん、申し訳ないですが、ボクは熱狂的なジュビロのサポーターなので、J2しか見ていないですよ」
静岡県浜松市出身。サッカー好きは、実は野球よりも郷土のチームを愛する傾向が強い。渡辺のジュビロ愛により、京都の話はあまり盛り上がらなかった。
その渡辺が取材に出向いたのはSGL。オリックスとの練習試合が行われた。
「デュプランティエがキレッキレ。6月の月間MVPを獲得した時期に匹敵する投球でしたよ。(高橋)遥人も、納得いかない表情でしたが、ボクはいい内容だと思いました。CSに向けて収穫大の練習試合でした」
そう振り返った渡辺は「朝9時に現地に到着したら、ファンはチケット売り場に大行列でした」と驚いていた。熱狂的なファンは、どこへでも駆けつける。
「チケットも今はネット販売が主流ですからねぇ。行列を見たのは大阪・関西万博ぐらいです」
トラ番・中屋友那も圧倒されていた。日本一へ、ガンバレ阪神! 京都サンガも-。