宝塚記念を連覇したメイショウタバルと武豊騎手=14日、阪神競馬場(撮影・奈良武) ■6月20日 日本が誇る天才騎手・武豊が安田記念を制した際、SNSで「新時代の扉が閉まった」といった文言が飛び交った。ジュウリョクピエロに騎乗した22歳の今村聖奈が女性騎手初のクラシック制覇を果たした2週間後、JRA史上最年少GI制覇記録(19歳7カ月23日)を持つ生けるレジェンドが、史上最年長57歳2カ月24日でGI制覇を決めたからだ。
「もう終わった」と言われたオグリキャップを1990年の有馬記念で勝利に導き、ギャンブル派が敗れてロマン派が台頭する流れを作ったのが武豊。36年前に新時代の扉を開いた彼が、今村聖奈によって開かれた新時代の扉をすぐに閉ざしたというわけ。
皮肉ではなく、長きにわたり第一線で日本競馬界を引っ張ってきた偉大な騎手をユーモラスに称賛したものと小欄は受け止めた。その存在感は色あせるどころか増している。安田記念の翌週に行われた宝塚記念も勝利。それは昨年の覇者メイショウタバルとのコンビによる連覇でもあった。
天才騎手は言語感覚もGI級。宝塚記念の発走約20分前に降った恵みの大雨に「おそらく天国から松本会長が降らせてくれたのかな」。前オーナーの松本好雄氏が昨年8月に亡くなったから。20年ぶり6度目の2週連続GI制覇で最年長GI勝利記録を更新したことには笑顔で「ようやくピークが来たみたい。遅咲きでした」。当意即妙で感嘆しかない。
そして「胸を張ってフランスに行けると思います」。日本競馬の悲願である凱旋門賞制覇へ希望を灯す発言で締めくくった。ジュウリョクピエロが参戦を見送ったことでフランスでの今村聖奈との競演は夢に終わったが、10月4日の本番が楽しみになった。(鈴木学)