九回、阪神・森下翔太が左中間への2ラン本塁打を放つ。森下らしい角度のついた一発だった=横浜スタジアム(撮影・荒木孝雄) (セ・リーグ、DeNA3-11阪神、9回戦、DeNA5勝4敗、19日、横浜)打った瞬間、誰もがスタンドインを確信した。苦しい戦いを乗り越えて臨んだ再スタートの一戦で、爽快な特大弾が左翼席上段に突き刺さる。阪神・森下翔太外野手(25)が豪快な16号2ランで佐藤を超え、リーグ本塁打単独トップに躍り出た。
「甘く入った変化球だったんですけど、いい感じに角度を出しながらのホームランを久しぶりに打てた。最後の最後で自分だけヒットが出ていなかったので、ちょっとそれも頭にあって。(中野)拓夢さんが得点圏に進んでくれたのが、一番打ちやすくなったと思う」
8―3の九回、先頭の中野が四球を選ぶと暴投で一気に三塁を陥れ、無死三塁で森下が第5打席へ。カウント2―2から左腕・坂本の変化球を完璧にすくい上げた。森下は四死球で2得点をマークしながらも先発野手で唯一安打が出ていなかったため、この一発が先発野手全員安打達成の締めの一本となった。
ホームランダービーで先行する佐藤に食らいついてきたが、森下が単独でトップに立つのは佐藤が6本、森下が7本だった4月29日以来51日ぶり。虎の中軸コンビの弟分が力を示し、佐藤の3冠の牙城を崩してみせた。
「交流戦はタフなゲームで、結構気持ち的にもつらかった部分もチームの中である。そういう意味では、ペナントが始まって一発目の勝ち方としてはすごく良かったんじゃないかな」
リーグ戦再開の一戦で納得の一発が出たことに価値がある。交流戦は打率・318を残したが、満足のいく打撃ができたわけではなかった。厳しい攻めに、簡単には理想の打撃をさせてもらえない。「角度がつかない。ホームランの打ち方を忘れちゃうかもしれない」と冗談めかして話すこともあった。
この日の一発の打球角度は36度。追い求め続ける美しい放物線だった。昨オフ、森下が本塁打増に向けて取り組んださまざまな課題のうちの一つが、角度をつけるポイントを増やす打撃フォームだ。9日のソフトバンク戦(みずほペイペイ)以来8試合ぶりの一発は、本人も〝久しぶりに〟と語るほど手応え十分の一発。球場を引き揚げる際の表情も、心なしか穏やかだった。
チームが首位に浮上する中でも、「今の順位とかは特に見ず、目の前の試合をやっていくというだけ」と目の前の一戦に集中する姿勢を強調した。念願の連覇と、本塁打王のタイトル獲得へ―。森下がその手で、全てを成し遂げる。(中屋友那)