苦しみながらも王座を奪取し8冠を独占した藤井聡太八冠。満面の笑みが激闘を制した充実感を物語った=11日午後、京都市(撮影・渡辺恭晃) 将棋・第71期王座戦五番勝負第4局(11日、京都市「ウェスティン都ホテル京都」、主催・日本経済新聞社、日本将棋連盟)歴史的快挙だ! 後手の藤井聡太七冠(21)が5連覇と名誉王座資格獲得を狙う永瀬拓矢王座(31)に138手で勝利。対戦成績を3勝1敗として王座奪取と前人未到の全8冠独占を達成した。最終盤にAIの評価値で敗戦確率99%の劣勢となるも大逆転。全冠制覇は1996年に当時の全7冠を独占した羽生善治九段(53)以来。2016年10月のプロ入りから7年10日での独占は、羽生九段の10年1カ月をしのぐスピード制覇となった。
最高気温24度で爽やかに晴れ渡る古都・京都。苦しみながらの大逆転で偉業を達成した藤井八冠は終局直後、うつむき加減のクールな表情で盤上を見つめた。
「早い段階から激しい展開で、どうバランスをとれば良いか分からなく、苦しかった」。その後、約180人のファンが待つ大盤解説会であいさつ。約25秒間に及ぶ拍手で祝福されるも「最後ははっきり負けというところもあった」と激闘を振り返った。
第4局は勝率が若干落ちる課題の後手番。序盤は永瀬王座の意表を突く手に対して長考した。中盤は一進一退の攻防となったが、終盤で永瀬王座がリード。藤井八冠は持ち時間を使い切り、1分将棋の展開となるも、永瀬王座の123手目▲5三馬を一瞬の隙とみて反転攻勢。ここでAIの評価値は99%の劣勢から80%台の優勢へと推移し、138手目△5六歩の王手で投了に追い込んだ。
現役棋士では1996年2月に羽生善治九段が第45期王将戦第4局に勝利し、当時の全7冠を25歳で独占。2017年に叡王戦が加わって8大タイトルに移行後、全冠独占は藤井八冠が初となる。16年10月1日のプロ入りから7年10日での独占で、羽生九段の10年1カ月をしのぐスピード制覇。全冠独占は大山康晴十五世名人らに並び史上4人目だ。