(セ・リーグ、阪神2-1中日、24回戦、阪神15勝9敗、5日、甲子園)待ちわびていた風だ。大きく描いた放物線は、ねじ曲げられず、むしろ加速して伸びきった。風向きが変わり、糸井がまたも虎を変えた。チーム35イニングぶりの甲子園での得点は、超人の2試合連続弾となる17号ソロで生まれた。
「きょうは風が逆やったんで、入ってくれると思いました」
お立ち台で満面のスマイルだ。9月10日のDeNA戦以来、勝てず。同18日の優勝を決められた広島戦の七回に陽川がソロを放って以来、1点も取れていなかった本拠地の重たい空気を、糸井がガラッと変えた。
0-1の六回一死。1ボールからの2球目、小笠原の高め142キロボール球を一閃。これまでなら浜風に押し返されていたかもしれないが、この日はスコアボード上の旗も右向き。フェンスをグッと飛び越して、甲子園35イニングぶりのホームを踏んだ。フル出場した昨季より、30試合も少ない出場113試合目で昨季に並ぶ17号に到達。進化し続ける超人が、ひと振りで虎を変えた。
金本監督も「なかなか点が取れそうな雰囲気がなかったんですが、さすがベテラン。力のある選手が打ってくれて、よかった。流れをグッと引き寄せてくれるような場面で打ってくれる」とうなずいた。
19歳の左腕、小笠原をつかまえた。CSで対戦するDeNAも左の今永、浜口の先発が予想されるだけに、同じくチェンジアップを決め球とする仮想敵を撃ったのは大きい。糸井は両左腕とも苦手にしていない。浜口からは2本塁打を放った。あとはいい風の吹く甲子園で、満を持して迎え撃つだけだ。
「次の目標はクライマックス勝ち上がって日本シリーズに行くことなんで。それに向けてしっかりやっていきたい」
上だけを見ている。FA移籍の虎1年目は、まだまだ当分終わらせない。 (長友孝輔)
「甲子園で勝てていなかったけど、点も取れていなかったんだけど、糸井のホームランで嫌なことを切ってくれた」
★「FA失敗(笑)」
糸井は沖縄・宜野座キャンプから戻り、甲子園で虎入り後初の打撃練習を行った今年3月2日、ショックを受けていた。
「FA失敗した(笑)」と思わず関係者に冗談をこぼした。浜風が強く弾丸ライナーしかサク越えしない。42スイングで3本塁打にとどまって、面食らっていた。だが秋の甲子園では、浜風とは逆向きの風が吹くことも多い。甲子園でのCSは糸井ショーになる!?