本の中から飛び出し、語りかけた。今月1月12日付のサンケイスポーツで、野村克也氏(81)=本紙専属評論家=が、阪神・原口文仁捕手(24)へメッセージを送った。紙面でしかお伝えできなかったその内容を、もう一度ここへ記しておきたい。
原口にとっての野村氏は、「本の中の人」そのものだった。小さな頃から著書を手に取り、読みふけった。虎の正妻の座をつかもうともがく今オフもかばんの中には常に「野村の金言」(セブン&アイ出版)という書籍を忍ばせ勉強し続けてきた。プロ7年目の昨季は支配下登録に返り咲いてようやくの1軍出場を果たし、打率・299、11本塁打、46打点と「打」で結果を残したが、一方でスローイング、キャッチング、リード、ワンバウンドのストップなど、捕手としては課題が浮き彫りになっていた。野村氏にも学びもっともっとやらなくては、という気持ちだった。
「いつかお会いできたら…とは思うんです。でも、まだ僕は評価するに値しないと思う。しっかりと捕手として試合に出続けて、それからお言葉をいただけたら、と思っています」
捕手として試合に出続けることもできていない。チームを勝たせることもできていない。今の自分では、まだまだとんでもない、といった口ぶりだった。だが、本紙を通じて原口の必死の取り組みを伝えられた野村氏の方が、言葉をくれた。それが以下のものだった。
「私の評論や著書を読んでいる、うんぬんではなく、勉強しようという姿勢を評価したい。原口は捕球の際、ミットを動かさず、投手の的になることに徹している。その心がけにも注目していた。打撃もよいが、捕手はグラウンドにおける監督である。失点を防ぐということに、全精力を注いでもらいたい」