それからはオープン戦や公式戦を見に行かせてもらいましたが、重要な試合ではなかなか登板させてもらえなかった。そんな中でも僕らスカウト陣が評価していたのは彼の人間性。高卒で入社して4年目に投手リーダーに任命されていました。年上の選手が多い中でも先頭に立って練習をやっていたし、何より良い表情で野球に取り組んでいた。生粋の野球小僧ですし、周りに『楽生が頑張って投げているんだから、俺らも頑張ろうぜ』と思わせる、ひたむきな姿勢を評価していました。
年齢的には大卒の選手と同学年。もし東京六大学や東都大学野球でプレーしていたらもっと騒がれてもおかしくなかったと思うし、まだまだ球も速くなるし、変化球も良くなる。社会人卒なので即戦力とみられがちですけど、投手としての伸びしろも含めて推薦していました。
初勝利を挙げる直前の7月29日に京セラドームに行ったときに片山と話す機会がありました。その時までは防御率0点台を維持していたので「何で抑えられているの?」と冗談ぽく聞いたら「僕もわかりません」と笑っていました。プロの世界は結果がすべてですから、活躍できている理由なんか考えなくてもいいのかもしれません。
宮城や曽谷のように150キロがコンスタントに出せる投手もすばらしいですが、片山には金子千尋さん(オリックスと日本ハムのOBで、現日本ハム2軍投手コーチ)のような投手になってほしい。コントロールがよくて、多彩な変化球で打ち取れるスタイルが彼の理想であり、完成形だと思う。1年目から1軍で投げさせてもらえることは貴重な経験ですし、プロに入ってここまでやってこれたのは彼の努力のたまもの。これからもけがなく頑張ってもらいたいですね。(オリックス・バファローズスカウト)
■片山 楽生(かたやま・らいく) 2002(平成14)年10月7日生まれ、22歳。北海道音更町出身。小学2年に野球を始め、音更町立共栄中では軟式野球部に所属し、3年夏には全日本大会で4強。白樺学園高の2年秋には全道大会で優勝し、明治神宮大会で4強。NTT東日本では都市対抗と日本選手権にそれぞれ3度出場。D6位でオリックス入団。今季は11試合で1勝0敗、防御率1・72。177センチ、81キロ。年俸800万円。投手。右投げ左打ち。背番号「49」