(セ・リーグ、阪神0-4巨人、24回戦、巨人16勝8敗、10日、甲子園)今季限りでの引退する阪神・藤川球児投手(40)が試合後、引退スピーチを行った。全文を掲載します。
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まずはじめにこの度、野球選手、藤川球児のためにこんな素晴らしい舞台を用意していただいた阪神タイガース球団、そして矢野監督をはじめとするコーチ、選手、スタッフの方々にお礼を申し上げたいと思います。
本日は阪神タイガースファン、そして全国の野球ファン、プロ野球界の先輩方の皆様に、きょうこの日を迎えるまでに皆様からいただいた夢、希望を持ち、人生を前向きに生きることができたお礼を伝えたいと思います。
1999年に阪神タイガースに入団して、同じドラフト1位には、同級生、西武ライオンズ・松坂大輔、そして巨人軍には上原浩治さんがいました。2人は1年目から素晴らしい活躍をしていました。2人を見て、失敗と故障を繰り返す自分を比べると、自分には無理だと普通なら諦めてしまうでしょう。でも、僕は今は勝ち負けはついていないと、認めることだけは絶対にしませんでした。
当時、周りから厳しい視線を感じたり、厳しい言葉を投げかけられることもたくさんありました。しかし、どんなときも必ず見返してやる、そう思いやってきました。
そして2005年、タイガースで優勝することができました。最高の思い出です。
そのあと、松坂と上原さんがメジャーリーグに行って、追いかけるように、自分もメジャーリーグにチャレンジしました。しかし本当に苦しいことばかりで、孤独で、また新人のころのようにうまくいかない日々が訪れ、明日すら…(言葉に詰まるがしばらくして笑顔で)大丈夫です。明日すら見失いそうになっていました。そんなとき阪神タイガースに入団してからの苦労した経験が僕を救ってくれました。
俺は負けていない、見返してやる、独立リーグからもう一度リスタートして、自分の力を見せて、地元高知の子供たち、そして日本のプロ野球ファンをびっくりさせたいと思っていました。そこからタイガースに戻り、3年間をかけてやっとクローザーのポジションに戻ることができました。見返してやる、そのときにはもうそんな気持ちは全くなく、これが皆様からの叱咤激励だと知り、心の底からありがとうという感謝の気持ちでいっぱいでした。
僕は、自分自身に度々襲い掛かる苦難に打ちかつことができました。
清原和博さんへ。あなたがいなければ今の僕は存在しません。僕をここまで成長させてくれたのは清原さんとの対戦、そして、存在です。何年か前になりますが、僕も清原さん自身も苦しいときにお守りを届けていただきました。体を大事にしろよ(と声をかけてくださり)、すごく力になりました。清原さんは、とても優しい方です。必ずお礼を伝えに行きますので、今後ともよろしくお願いします。
ライバル・松坂大輔へ。必ず投げる姿を見せて、世の中の人を元気にしてください。あなたのそういう姿が今の日本には必要です。僕があなたの一番の応援団になります。目標でいてくれてありがとう。
それでは阪神タイガースファンの皆様へお礼を言わせてください。僕の火の玉ストレートには、甲子園球場のライトスタンドの大応援団の皆様、チームの思い、そして全国のタイガースファンの熱い思いがすべてつまっています。それが皆様の知る火の玉ストレートの投げ方です。それが打たれるはずがありません。打者のバットに当たるはずがありません。僕が言うのも変ですが、不思議な力が湧いてきて、普段の自分ではなくなるのです。野球選手・藤川球児というのは、皆様の気持ちの塊だったんだと思います。ファンの皆様にとって僕の存在が誇りというのならば、僕にとってもファンの皆様が誇りです。その気持ちをこれからは後輩たちに一緒に送り続けましょう。そしてタイガース史上、最高のキャッチャーで、僕が世界で一番尊敬している矢野監督を日本一の監督にさせてあげましょう。選手やコーチのみなさん、あとはよろしくお願いします。もし困ったときはいつでも呼んでください。すぐに駆け付けます。
そして僕自身よりも一度も世間に顔を見せず、頑張ってきてくれた家族へ、この場を借りてメッセージを送らせてください。
今までたくさん野球のために我慢させてきたけど、やっと明日から夫として、普通のお父さんとして、家族のために何でもしてあげられるようになります。長い間、お待たせしました。これからは何をするときも一番にみんなを優先します。今までよりさらに笑顔の絶えない家族になりましょう。
そして親父、お母さん、名前を「球児」にしてくれてありがとう。野球をやらせてくれてありがとう。やめようとしているとき、何回も引きとめてくれてありがとう。2人が元気な間に恩返しする時間ができました。これから少しずつ恩返しさせてください。
そしてこの1カ月、セ・リーグの各チームの方々、球場関係者の皆様、こんな1人の選手のためにセレモニーを用意していただきまして、本当にありがとうございました。きっとたくさんの子供たちへの夢や希望につながったと思います。夢をつなぐ、これが僕が現役生活、最後の1カ月でやりたかったことです。それでは皆さん、野球選手・藤川球児とさよならをするときがきました。子どものころからの先生方、今までのすべての友人、そして世界中の野球ファンの皆様、皆様のおかげで最高に素晴らしい野球人生を送ることができました。長い間のご声援、本当に、本当に、ありがとうございました。