5回、打者走者の長崎日大・平野博裕と交錯し、痛がる山梨学院・菰田陽生=甲子園球場(渡辺大樹撮影) ■3月25日 その昔「泣くな別所、センバツの花」との新聞の見出しがあった。巨人などで通算310勝した剛腕で、監督時代は〝鬼軍曹〟といわれた別所毅彦の伝説的な逸話だ。兵庫・滝川中(旧制)時代の1941年センバツ準々決勝で本塁に突入した際、左肘を骨折。三角巾で左腕を吊って残りを投げたが力尽きベンチで号泣したという。
そんな昔話を思い出したのは、今秋ドラフトの上位指名間違いなしという山梨学院の〝二刀流〟菰田(こもだ)陽生投手の左手骨折のニュースだった。一塁手として先発出場した22日の1回戦、長崎日大戦の五回の守備で三塁手の悪送球を捕球しようとして打者走者と衝突し、六回から退いた。
194センチ、102キロと大谷翔平並みの体格で、一回一死から左翼へホームランを放つと五回の第3打席も左前に痛烈ヒット。大器の片りんをのぞかせた。しかし好事魔多しとはこのこと。山梨学院・吉田監督が「あんなに痛がっている菰田を見たのは初めて」というほどで、「左手首付近の骨折」と診断された。
高校野球では今大会から指名打者制が導入された。ある高校のベテラン監督はいう。「一塁は巨人時代の岡本(和真=ブルージェイズ)が大けがしたように交錯プレーでけがしやすく、高校では投げない投手はふつう一塁には置かない。菰田君の体は一塁向きとはいえ、せっかくだから指名打者で起用してもよかったのではないか」
昨夏優勝の沖縄尚学や横浜など強豪が早々と敗退する波乱の大会。昨夏ベスト4で優勝候補の一角にも挙がる山梨学院にとって大黒柱のけがはそれこそ痛手で衝撃は大きい。いまは「泣くな菰田。ドラフトの目玉」と慰めるしかない。(今村忠)