二回、ビシエドの打球を指さす阪神・西勇輝。天国の清川栄治さんに届ける今季初勝利になった(撮影・根本成) (セ・リーグ、中日4ー9阪神、9回戦、阪神6勝2敗1分、16日、バンテリンD)災難に見舞われても、勝ちたい思いを人さし指と中指に込めた。阪神・西勇輝投手(33)は10安打を浴びながらも6回2失点粘投。今季5度目の先発で、ついに今季初勝利をつかみ取った。
「1打席目に本当に詰まりすぎて、親指の感覚がなくなってしまった。2本指でしっかり投げている感覚で(投げた)」
二回の打席で梅津の150キロに詰まらされ、投ゴロ。激痛に襲われた。ただ、先発として簡単にマウンドを降りる気持ちなどない。スタンドに両親も観戦に訪れた中、アクシデントをひた隠しにし、投げ続けた。
3―0の四回無死満塁では3年ぶりの打点となる右前タイムリーで自らを援護。勝利投手の権利がかかった6―0の五回は2点を失うも、さらなるピンチでは細川&石川昂を封じ、痛みに勝る喜びがガッツポーズとして表れた。6回降板は救援陣に〝謝罪〟したが、魂の85球は勝利につながった。
「めちゃくちゃお世話になったし、何とかあの人に届けたいなという思いがあった」
開幕4戦未勝利を気に留めない右腕だが、今回は白星を手にしたい大きな理由があった。オリックス時代のプロ入り当初に投手コーチとして指導を受けた清川栄治さんが悪性腫瘍のため、今月5日に62歳の若さで死去。突然の訃報にはショックを受けた。いまも胸にあるのは、当時に言われ続けた「為せば成る」の言葉。親指を痛めようとも死力を尽くし、14年連続勝利を成し遂げた。
「当たり前にいた人がいなくなるというのはやっぱり寂しいもの。いまを大切にしながら、一年でも長く野球をできるように頑張っていければいいなと思っています」
天国へ旅立った恩師にも届けた、この1勝。33歳のチーム最年長はこれからも元気な姿を見せ続けていく。(須藤佳裕)