チームが3連敗したときも、3日間とも金本は黙って試合後に素振りを繰り返している。ヘッドコーチ島野育夫は「こっちから言う前に続々と選手が早出特打をやり始めた」という。どうなっているんだ? と島野はうれしさをかみ殺して聞いた。すると選手らは口々に「やらないと気持ちが悪いんですョ。エヘヘ」と同じ返事。それは金本の口グセだった。
「骨から汗が出るほどの暑さが好きなんですよ、俺は」
金本が言った。毎年、チームが失速する試練の夏を乗り越えた。こういう大人の劇薬野郎に支えられて、星野阪神はゴールした。 (敬称略)
【編集委員・上田雅昭の視点】
糸井の野球の実力は飛び抜けている。「30年近くいろいろな強打者のフリー打撃を見てきたが、間違いなくトップ3に入る。スイングスピード、迫力、その飛距離も」と語る。オリックスのキャンプは阪神と違って、間近で打撃をみることができる。まず、音が違う。阪神移籍が決まったとき、監督福良は「阪神の打撃練習しか見てないトラ番は衝撃ちゃうか。ビックリするやろう」といった。
日本ハムの大谷翔平が9月に164キロの当時最速球をマークしたが、糸井はヒットにして「手がしびれた」と苦笑い。それが阪神にもたらす効果は大きい。