きっかけをつかんだ一年から飛躍の一年へ。2025年、頭角を現した阪神・中川勇斗捕手(21)は新人王の資格が残っていることを素直に驚いていた。
「そうなんですか?! 何も知らなかったです。首脳陣からも何も…。でも、(新人王資格が)あった方が、モチベーションにはなりますね」
高卒4年目で迎えた今季は4月下旬にシーズン初昇格。4月30日の中日戦(バンテリンドーム)で1軍初出場を代打で飾ると、5月6日の巨人戦(東京ドーム)で初先発し、初安打をマークした。25試合の出場で打率・268、2本塁打、2打点。172センチと身長は高くないが秘めたパンチ力も見せ、ブレークのきっかけをつかんだといえる。
9月28日の中日戦(甲子園)。「6番・左翼」で先発すると、六回の第3打席で左前打を放ち、代走を送られて途中交代となった。この時点で1軍通算59打席。レギュラーシーズンのチーム最終戦だった10月2日のヤクルト戦(甲子園)は、ベンチ外となっている。
NPBの定める最優秀新人の資格は「支配下選手に登録されてから5年以内」、かつ野手の場合は「1軍で60打席以内」。若虎に来季の新人王資格を残したのは、藤川監督の親心ともいえるだろう。
「8月、9月の打撃を続けることができれば(新人王の)チャンスはあるかなと思います」
中川自身も確かな手応えをつかんでレギュラーシーズンを終えることができた。5月中旬に喫した2軍降格。1軍再昇格まで約2カ月の期間で自らの打撃フォームに試行錯誤を重ねた。「打撃フォームも変わりましたし、バットも変えました。それがいま、すごくしっくり来ている。これが自分の形だなと思っています」。苦しんだからこそつかむことができた自分の型。充実のシーズンを若虎は振り返った。
「ずっと1軍で活躍したいと思っていて、その一歩は踏み出せたと思っています。いろいろ経験して分かった部分もありました。2軍でやってきたことを変えることなく貫けば大丈夫だ、と」
次は日本一に向けたポストシーズン。そして飛躍の2026年へ。中川の活躍から目が離せない。(原田遼太郎)