指名あいさつ後に藤川球児監督のサイン入りドラフト会場IDを手にする阪神D1位指名の明大・榊原七斗=明治大硬式野球部合宿所(撮影・水島啓輔) 〝大谷級の覚悟〟が決まった! 阪神からドラフト1位指名された明大・榊原七斗外野手(22)が23日、東京・府中市の同大野球部合宿所で藤川球児監督(46)らから指名あいさつを受けた。目標の選手に近本光司外野手(31)を挙げてきた金の卵だが「憧れているとだめ。一日でも早く追い越せるように頑張りたい」と頼もしく誓った。
運命の日から一夜明けると、そのまなざしは鋭さを増していた。憧れるのはやめましょう―。虎のD1位・榊原は、ドジャース・大谷の名言さながらの決意を力強く宣言した。
「近本選手が理想像。(でも)憧れているとだめだと思うので、一日でも早く追い越せるように頑張りたいと思います」
かねて目標に掲げてきた虎のリードオフマン。しかし、この日指名あいさつに訪れた藤川監督と担当の平塚スカウトから「憧れているだけじゃだめだ」と背中を押されたことで、22歳の意識は一変した。「より一層、近本さんを超えたいと思いました」。「近本2世」ではなく「榊原七斗」として、夢の舞台へ挑む決心が定まった。
指名あいさつに訪れた阪神・藤川球児監督(右)と記念写真におさまる阪神D1位指名の明大・榊原七斗=明治大硬式野球部合宿所(撮影・水島啓輔)指揮官が思わずうなったのは、走攻守三拍子そろった総合力の高さだけではない。どんな局面でも揺らぐことのない、真っすぐな眼光だ。「指名されたときに表情が動かなかった」と第一印象を振り返った虎将は「集中力を高く保つことをテーマとしたチームづくりをしている。それを新入団の選手にも、と思っていたが、すでにその姿勢を持ち合わせている。さすが明治大学だなと思いました」と賛辞を惜しまなかった。
その強靱(きょうじん)な精神力を育んだのはほかでもない、紫紺の戦闘服に袖を通して戦い抜いた4年間だ。同大野球部の礎となっているのが「人間力野球」。かつてリーグ戦で15度、大学選手権で5度の優勝に導いた名将、故・島岡吉郎氏は、技術や体力を超える心の部分を重視した。その教えを受け継ぐ榊原はプロの世界に飛び込んでも〝島岡イズム〟を徹底する。
「明治大学での毎日の生活が(今の)自分を作ってくれた。学んできたことは曲げずに貫きたい。全力疾走、全力でのカバリングは変えずにやりたい」
伝統に裏打ちされたメンタリティで、目指すは開幕1軍。そして、近本超えへ―。榊原のストーリーが始まる。(秋葉元)
■榊原 七斗(さかきばら・ななと) 2004(平成16)年7月15日生まれ、22歳。兵庫・高砂市出身。曽根小1年時に曽根南野球部で野球を始め、松陽中では全播磨硬式野球団ヤングで投手兼外野手としてプレー。報徳学園高では1年秋からベンチ入りし、2年秋からエース。甲子園出場はなし。明大では3年秋に打率・390で優勝に貢献し、外野手で初のベストナイン。リーグ戦通算89試合で打率・301、現役最多の12本塁打、53打点。173センチ、79キロ。左投げ左打ち。