ギラッ。水面に銀色の魚体が浮かぶ。「デカいっ!!」。船上に大声が響いた。武田が大物賞となる、体長38センチ、800グラムのマダイを仕留めた。
「うちの土鍋なら、尾は十分にはみ出す。いいお土産になりました」
千葉・いすみ市の大原『長福(ちょうふく)丸』の船上で、川口プロと5時間のバトル。北西の風7メートル、2メートルの荒海にも「大原沖にしては穏やか。逆に凪だと釣れる気がしない」。2人は笑い飛ばした。
流儀がある。武田は今オフに入ってから5度目のマダイ釣り。ブラックバス釣りは30年の経験も、いまはマダイ釣り一筋。サルエビを餌に、「ひとつテンヤ」(ハリ2本とオモリが一体化した仕掛け)しか使わない。
「小さいアタリでも合わせる。合わせられなかったら、頻繁に餌を替えるのが大切です」
午前6時過ぎからスタートし、川口プロが4尾リード。武田は「きょうは釣れないかも…」と弱気だったが、川口プロに釣り糸が切れるアクシデントが発生。強風の中で、PEライン(特種素材の糸)とリーダー(フロロカーボンの糸)を結ぶのは至難の業で、これが勝負の分かれ目となった。
結果、武田はマダイ11尾、1キロ超えのハタ1尾。一方で川口プロはマダイ8尾、185センチの巨大アカヤガラ1本、カサゴ1尾、ウマヅラハギ1尾。マダイ対決は、武田が逆転勝利を収めた。
若きホープの藤井大佑船長(27)は「うまくないとあれだけ掛けられない」と2人を絶賛した。最多セーブ王3度を誇る右腕は「いつか1メートル級を釣る」。これまでの自己最長記録61センチを超える、巨大マダイを追いかける。