ソフトバンクは31日、ヘッドコーチに元広島監督の達川光男氏(61)が就任したことを発表した。背番号は「79」。達川氏は宮崎市で行われている秋季キャンプに合流して会見。1年勝負であることを強調し、ヘッドコーチの手本として、2003年に阪神を優勝に導いた故・島野育夫氏(享年63)の名前を挙げた。
「ここで野球人生が終わっていい」。会見は6分間におよぶ所信表明から始まった。ユーモアたっぷりの達川節の中に、強い決意がはっきりと表れた。新ヘッドコーチは仕事に明確なイメージを抱いて登場した。
「いろいろなヘッドコーチを見てきたけど、優勝するヘッドは黒子に徹している。島野育夫さんを手本にしたい」
広島で監督を務め、3球団でコーチを歴任してきたが「ヘッド」は初体験だ。お手本は、2003年に阪神を優勝に導いた星野仙一監督を支えた名参謀。自身もバッテリーコーチとして間近で接した故・島野氏の魂を心に刻んで新しい職場にやってきた。
「一度、夜中の3時くらいまでヘッドコーチという立場について話してもらったことがある」
故人から2冊のマル秘ノートを見せてもらった。1冊はチームのこと、もう1冊は星野監督について細かく記されていた。「鮮明に覚えている。なんとか生かしたい」。強い気持ちの裏には覚悟があった。
「私が来なくても来年はV奪回できます。負けたら足を引っ張ったということで、ここにいる三笠さんと退団する。それくらいの気持ちです」
隣に座った三笠球団統括本部副本部長を巻き込んで笑いを取るのは、達川氏らしい。それでも本気だ。就任と同時に、優勝を逃したら退任することを宣言。会見後はジャージーに着替えた。捕手の練習に参加。捕球、スローイング、バント処理…。いきなり2時間超の熱血指導でやる気を前面に出した。
「監督に終生、忠誠を尽くしたい。少しでもお役に立てるように」
工藤監督の指揮下では初のヘッドコーチの誕生だ。V奪回へのキーマンが明るく、燃えながら加わった。 (安藤理)
「僕が気がつかないところ、見えないところでアドバイスをいただきたい。(今季も)ベンチでの作戦も対応が遅れたことがあったので」
「工藤監督の下で、いままでヘッドコーチはいなかったけど、日本一奪回に向けて、監督の信頼できるコーチを置きたいという要望にいたりました。監督の右腕として指導をお願いしたい」
★初会話は「工藤なめんなよ」
達川ヘッドコーチは工藤監督との関係について「1995年にダイエーでコーチをさせてもらったときに、工藤監督が選手だった。話しているうちに野球観が合っていった。評論家として話をしていたときも」と語った。初めての出会いは1986年の西武対広島の日本シリーズで、敵同士だ。「初めての会話は『工藤、なめんなよ』だった」と振り返って「きょうをもって『工藤、なめんなよ』は言いません」と笑いを誘った。