日本ボクシング連盟の仲間達也会長(右)と東京科学大病院の藤井靖久病院長 アマチュアを統括する日本ボクシング連盟と東京科学大病院(東京・文京区)は21日、東京・新宿区のJapan Sport Olympic Squareで会見し、「医療連携および研究事業連携に関する覚書」を6日に締結したと発表した。
選手の安全確保と競技環境の向上を目的とし、医療支援体制の強化や脳振盪(しんとう)症例などを中心とした事故予防研究を共同で推進する。有効期間は2026年3月31日までで、期間満了の6カ月前までに終了の意思表示がない場合、1年間自動延長される。次年度以降も協力関係を継続することで合意済みだ。
2月28日と3月1日に東京・北区の味の素ナショナルトレーニングセンターで開催する日本代表選考会から試合会場に同病院の医師を派遣し、ホットラインで救急を受け入れられるようにするなど、医療支援体制の強化を図る。
また、脳振盪(しんとう)などに関する相談窓口の開設や診療、メンタルヘルスケアなどさまざまな健康管理でも連携を取り、事故予防についての研究や啓蒙(けいもう)活動なども協力して行っていく予定だ。
プロでは昨年8月に東京・後楽園ホールで行われた別々の試合後に急性硬膜下血腫のため開頭手術を受けた2選手が死去するなどリング事故が続いており、アマでも同月、競技復帰を目指していた39歳の男性がスパーリング後に意識レベルが低下し、急性右硬膜下血腫のために千葉県内の病院で開頭手術を受けた。一命は取り留めたが現在も意識は戻っていない。
現役の循環器内科医でもある日本連盟の仲間達也会長(45)は「プロアマ問わず、スポーツである以上、最大限に安全性を向上させて事故を予防すること、事故が起きたときの体制を整えて対応ができるようにすることは競技を監督・管理する団体として責任を持ってやらなければならないこと。医療の専門家を交えた形での連携が必要不可欠。事故が起きたときの対応、事故の予防に関して、専門家の視点を交えて対応させてもらうことが非常に重要だ」と覚書締結の意義を強調した。
東京科学大病院の藤井靖久病院長は「スポーツにおける重大事故はできる限りなくすということが使命。病院の各部門で連携してボクシング選手の命と競技を支えたいと考えております」と話した。脳神経外科の稲次基希准教授は「競技を縮小させずに安全を守ることを1つ目の目標にしたい」と決意を述べた。今後は日本医科大、日大などとボクシング全体をサポートするアカデミック・コンソーシアム(複数の大学や研究機関が共通の目的のために連携する共同体)の立ち上げを検討中だという。(尾﨑陽介)