自打球で右足甲を骨折し、「神のお告げ」で退団したグリーンウェルさん 【ロサンゼルス9日(日本時間10日)】米大リーグ、レッドソックスで外野手として活躍し、プロ野球阪神でもプレーしたマイク・グリーンウェルさんが死去した。レッドソックスが発表した。62歳だった。球団公式サイトによると、甲状腺がんで闘病していた。
阪神助っ人史に残るグリーンウェルさんの死去。62歳は若すぎる。
7試合にしか出場していないのに、認知度はトップクラスだ。当時の吉田義男監督の言葉を借りれば「嵐のようにやってきて嵐のように去っていった」助っ人だった。
年俸3億6000万円。現在でもこの金額をもらう助っ人は少ないし、28年前は法外な数字だった。そこまでして獲得した超大物が、キャンプ中に「サイドビジネスの契約がある」と帰国。さらに、プレー不能な故障が発生したという診断書を送り付けてきて、来日を拒んだ。すったもんだの末に4月下旬に再来日して一瞬ヒーローになった。が、自打球で骨折して、「神のお告げだ」と言い残して退団してしまう。
巨額マネーを払った阪神球団は徹底的にたたかれた。同時にグリーンウェルさんも「太平洋をまたにかけた国際詐欺」とまでののしられた。7試合で3億6000万円。ボロい商売(?)だと日本の野球ファンを敵に回した。日本の歴代助っ人No1を決めるテレビ番組では1位が神様・バースさん。番外の最下位がグリーンウェルさんだった。
騒動から数カ月後、取材のために夜、球団社長宅を訪ねた。すると暗闇から「ブン!」「ブン!」という音が。よく見たら、三好一彦球団社長(当時)が素振りをしていた。
「これ、グリーンウェルからもらったバットなんですわ。退団の際に、『迷惑をかけたから年俸は一切いらない』と受け取らなかったんです。その時、このバットもくれまして。お金にクリーンでした。いくら私が説明しても、みなさんはボロクソに書きますが、ナイスガイでしたよ」
もし、だまされていたら、球団社長はそんなヤツのバットは大事にしない。昨年暮れ、三好元社長に「まだバットは振ってますか?」と尋ねたら、「私、もう94歳ですわ。バットは振れませんが飾ってますよ」と笑っておられた。グリーンウェルさん、実はホントにいいヤツだったんです。もし、悪人だったら、「神のお告げ」も聞こえないだろう。そう思う。(上田雅昭)