二回、内野安打を放つ阪神・井坪陽生=京セラドーム大阪(撮影・中井誠) (セ・リーグ、阪神5ー4中日、16回戦、8勝8敗、19日、京セラ)六甲おろしが鳴り響く中、黒い戦闘服をまとった背番号40が打席へ向かう。プロ初昇格し、「8番・中堅」で即先発した阪神・井坪陽生外野手(20)が、持ち前の快足でうれしいプロ初打席安打。ナインからの手荒い祝福に二十歳の笑顔がはじけた。
「ちょっと中途半端なスイングになったんですけど、結果的に『H』がついたんで、そこは一安心かなと思います」
17日に昇格を告げられ、準備を重ねてきた。待ちに待った初打席は二回。栄枝の適時打で同点に追いつき、なおも2死一、二塁で先発・マラーの初球、136キロの変化球に手を出した。三塁前に当たりそこないの打球が転がると、一塁へ駆け抜け内野安打に。さらに三塁・チェイビスの悪送球で2者が生還し、一気に一時勝ち越しに成功した。
関東第一高から2023年ドラフト3位で入団。1年目から2軍で傑出した打撃センスを見せ、ここまで順調な成長曲線を描いてきた。今春キャンプでは初の宜野座組を勝ち取ると、開幕は2軍スタートも、後半戦でベールを脱いだ。
食事から意識の高さをのぞかせる。幼い頃は母・朋子さんが作るからあげが大好きだったが、脂っぽいものを食べると太りやすい体質のため、プロ入り後は好物を封印。鶏むね肉や納豆オムレツなど、タンパク質主体の食生活を心掛けた。
その中でも特徴的なのが、高校時代に出合ったワニ肉だ。近所の自動販売機でワニ肉が販売されていることを知り、友人と興味本位で購入。蒸し焼きにして、塩コショウで食べると「さっぱりしていて鶏肉みたいな感じ」と思いのほか味わい深かった。高タンパク、低カロリーの珍味がパワーの源になっている。
「バッティングはまた一から上で取り組んでやっていきたい」
高卒3年目で味わった1軍の舞台。経験を糧に未来のスターは着実に成長を続ける。(萩原翔)