巧みなバットコントロールで安打を量産する阪神・近本光司 ■8月17日 「毎年光栄なことだと思う」。安打を重ねるごとに、結果的に長嶋茂雄さんの記録を掘り起こす阪神・近本光司の弁だ。昨季は入団6年の安打数で超え、今季は15日の巨人戦(東京D)で新人から7年連続年間130安打に到達し、長嶋さんの12年に次ぐ快挙となった。
一方で先人が経験したことがない領域が目の前にある。国内フリーエージェント(FA)権だ。順調なら間もなく、出場登録日数が7年に達し、資格条件を満たす。過去の取得者同様、当日は「シーズンに集中したい」といったコメントになるだろうが、走力と好守を兼備の安打製造機の決断に注目が集まる。
2024年12月10日の契約更改交渉で、5000万円増の推定年俸3億7000万円で締結。球団提示の大型複数年契約を固辞し、単年を選んだ。1年契約でシーズンに入り、権利取得となれば、同い年の大山悠輔と同じパターン。大山は他球団の評価を知るために権利を行使した。巨人が獲得に動く中で、2週間を超える長考の末に残留を決めた。
近本も11球団の声を聞きたいとなれば、複数チームが興味を示すのは必至だ。無条件に「1番・中堅」に名前を書けるだけで指揮官はどれだけ楽か。しかも年俸に見合う数字を残す。ここまで盗塁王を5度獲得し、唯一逃した21年は最多安打に輝いた。
今季は2つの戴冠に加えて首位打者の可能性がある。長嶋さんですら不可能だった1年目から7年連続でタイトルを手にしようとする男を他球団が放っておくはずがない。日本シリーズがどのような形で終わっても、思いを公表するときは来る。たとえ阪神が2年ぶりの日本一に立ったとしても、その余韻に浸る時間はない。(稲見誠)