「だってみんな、俺らも壁にぶつかってさ、悩んだり苦しんだりすることが絶対にあるわけじゃん。それを早めにちょっと予防接種じゃないけどさ。みんな期待されているじゃん、佐藤輝はもちろんのことさ」
順調であれば、即戦力と目すメンバーは1軍キャンプへ呼ぶ。あえて崖から落とすではないが、自身に近いところで、試練を与えるとともに、そこからはい上がることを促す。あの大山だって1年目は75試合出場にとどまり、毎年のように壁にぶつかって、昨季28本塁打と一つ突き抜けた。伸びていく者にはぶつかるべき壁があると、将も考える。
「期待に応えたいとかって、結果が出ないで焦るとかさ。今の力はここなんだよと、現在地を知るところでは、そういう壁があるよということも言った方がいいのかな、と」
スタートのこの日から、どんなことがあっても立ち止まらず、なんとかして高みへとよじ登ってほしい。そんな男を、矢野監督は待っている。(長友孝輔)