指揮官が常々口にする「執念」を選手が体現した。驚異的な粘りを見せたのは3-9の九回。代打・武内が4年ぶりの本塁打となる2ランで勢いをつけ、坂口、青木、山田哲がつないだ。8-9の二死一塁から大引が同点二塁打を放ち、試合を振り出しに戻した。
5連勝の後、前カードの広島戦(神宮)で3連敗。この日も二回までに6点を失った。しかし、誰も諦めていなかった。
決着をつけたのは指揮官が「代打でも、代走でも貴重な存在」と語る上田だった。上田には忘れられない失敗がある。第1次・小川政権の2011年。巨人とのクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージ初戦を控えた前日に、渋谷でコーヒーを飲んでいると携帯電話が鳴った。
野手ミーティングの日時を勘違いしていたことを知ると、タクシーですぐクラブハウスに向かった。到着後、空いていたのは小川監督の隣の席だけ。ナインににらまれながら、ミーティングの輪に入ったときは「(野球人生が)終わった」とさえ思ったという。
だが、監督は「罰金50万円を持ってこい」と通達。外野に集まったナインに「上田がチームに迷惑をかけたけど、俺はスタメンを外そうとは思わない。罰金でチャラにしてやってくれないか」と頭を下げた。