(セ・パ交流戦、楽天3-2巨人、3回戦、楽天3勝、1日、コボパーク)日本生命セ・パ交流戦は1日、各地で6試合が行われ、楽天が巨人最終戦(Koboパーク)に3-2で勝って5連勝。先発した則本昂大投手(26)が12三振を奪い、プロ野球新記録となる7試合連続2桁奪三振を達成した。8回6安打2失点で、両リーグ単独トップに立つ7勝目も挙げた右腕は、サンケイスポーツに独占手記を寄稿。世界記録に並ぶ8試合連続2桁奪三振への意欲を示し、次なる目標の「沢村賞」と優勝への熱い思いをつづった。
八回。10個目の三振を奪ったときは、少し心を落ち着けて時間を取った。さらに11個、12個と重ねてこの回を投げ切ると、腹の底から熱いものがこみ上げた。カッとなって、拳も突き挙げた。アドレナリンが出まくっていたから、最初から雨なんて何とも思わない。気がつくと、ベンチでチームメートが祝福してくれていた。
プロ野球新記録-。ちょっと照れるし、思わずクスッときてしまう。セレモニーでは、あまり感情を出さないように必死にこらえた。でも、うまくはいかない。自然とにやけてしまった。
「あの偉大な野茂さんを超えたんだなあ…」。スタンドの大歓声を聞きながら、ふと頭によぎった。まさか、自分が野茂さんの記録を上回るなんて思ってもいなかった。
小学校低学年のとき、野茂さんのフォームを見て衝撃を受けた。テレビの映像にかじりつき、すぐまねをした。時間を見つけて、小学校の廊下でも、誰が一番似ているかを夢中になって競い合った。いまでもトルネード投法はうまいですよ!
これも、運命なのかもしれない。野茂さんといえばフォークボール。プロ2年目に、そのフォークを覚えた。面白いように三振が取れた。ひそかに誓いを立てた。「必ず奪三振王になる」と。2014年から去年まで3年連続で実現できた。今後も誰にも譲れない、最もこだわるタイトルだ。
今季から「投球ノート」を書くのをやめた。打者の特徴や、失敗や成功した配球などを書き留めてきたけど、いったんスイッチオフ。打者と対峙(たいじ)したときの空気感、各球種に対する打者の反応を重要視するようにした。データに頼りすぎないことも、いい方向に出た。
監督やコーチ、チームメート、トレーナー、スコアラーと戦略室…すべての球団職員の方々の支えがあったからこそ。これまで僕に携わってくれたすべての関係者、そしてファンにも、感謝の気持ちでいっぱいです。
僕には大切な家族がいる。もうすぐ1歳3カ月になる一人娘と妻。娘が夜泣きすると、妻は起きてリビングに移動し、あやしてくれる。その心遣いには頭が下がる。登板日には必ず、クラブハウスに着く頃に、娘の写真がスマートフォンに届く。ものすごく、気持ちが高ぶるんです。
今年の正月、チームが日本一になるにはどうしたらいいか考えた。チームの勝利が最優先。僕も白星を稼ぐことで貢献できる。筆を取った。腹をくくり、色紙に「沢村賞」と書き込んだ。書き初めは魂を込めて丁寧に書く。書き終えたとき、疲れがどっと出た。
これから、この記録に挑戦する投手が出てきてくれたらうれしい。大リーグには、8試合連続2桁奪三振という記録があるらしい。もちろん、狙う。それが、チームの勝利につながるからだ。 (東北楽天ゴールデンイーグルス投手・則本昂大)
〔1〕楽天・則本が4月19日の西武戦から7試合連続2桁奪三振。1991年に近鉄・野茂英雄がマークした6試合連続を上回るプロ野球新記録となった。期間中は6勝0敗、防御率2.29。9イニング当たりの奪三振率は12.76。なお、今季の奪三振率は12.27。プロ野球記録が98年のヤクルト・石井一久の11.05でここまで上回っている。
〔2〕米大リーグで連続2桁奪三振の最長記録は8試合で、P・マルティネス(レッドソックス=99年)とC・セール(ホワイトソックス=15年、レッドソックス=17年)が記録。ほかに7試合連続はN・ライアン(エンゼルス=77年)、P・マルティネス(99年)、R・ジョンソン(ダイヤモンドバックス=01年)。