いつもは嫌うカメラのフラッシュを星野監督は最高の笑顔で浴びた。
「オイ、最近のオレの写真は不細工なやつが多いからな。ちゃんときれいに撮ってくれよ」
岡山・倉敷市での秋季キャンプを離れ、神戸市内で営まれた三木谷オーナーの父、良一氏の告別式に参列した。直後に吉報が届き、兵庫・芦屋市内で取材に応じた。
「監督としていただける正力賞は、投手でいえば沢村賞みたいなもの。まったく予測していなかったし、賞があることも忘れていた。コーチ、選手のおかげやな」
阪神時代に初受賞した2003年はリーグ優勝どまり。日本一監督として勝ち取った10年ぶりの勲章には、『史上最高齢受賞』(66歳9カ月、これまでの最高齢は06年のソフトバンク・王貞治監督の66歳5カ月)というおまけがついた。
「毎度、毎度、史上最高齢というのが付いてくるな。そのたびに年を感じるやないか」
監督として『師』と仰ぐ故川上哲治氏が長く選考委員長を務めていた。現在の委員長は王氏だと聞かされると、表情がさらに緩んだ。
「王さんはオレの最大の理解者やからな。王さんも弱小チームだったダイエー(現ソフトバンク)を強くした。だからオレの苦労も分かってくれている。ありがたいことやね」
王氏からは日本一の直後、祝福のメールが届いた。文面は『ごくろうさん! やったね! 返信不要』。そして今度は正力賞へとプッシュしてくれた。
星野監督とチームは12日に上京し、13日にアジアシリーズを戦う台湾に乗り込む。「ワシの中でシーズンは終わっとる。頭は徐々に来季に動いてるよ」というが、腹の中では勝つ気満々。今度は正力賞監督としてアジア制覇を目指す。(西村浩一)