好投した関大・米沢友翔 =東京ドーム(撮影・浅野直哉) 全日本大学野球選手権第1日(8日、関西大1-0北海学園大、1回戦、東京D)31年ぶりの出場となった関大(関西学生)は北海学園大(札幌学生)に競り勝ち、1991年以来35年ぶりの白星を挙げた。今秋のドラフト上位候補に挙がる米沢友翔投手(4年、金沢高)が、NPB全12球団のスカウトが見守る中で8回10奪三振無失点の快投でチームを初戦突破に導いた。
初の全国舞台で、大会屈指の左腕が躍動した。バックネット裏から12球団のスカウトが見守る中、米沢が一回先頭からの5者連続を含む10奪三振。8回を散発3安打で無失点に封じ、関大に35年ぶりの勝利をもたらした。
「一回に先制点を取ってくれたので、自分があとはうまく流れに乗るだけだなって思っていた。自信のある真っすぐで押せたことが良かった」
圧巻の立ち上がりでリズムをつくると、4番・山本の犠飛で先制した。四回まで無安打投球。五回に2死三塁とこの試合で唯一のピンチを迎えるも、146キロの直球で見逃し三振に斬った。最速は149キロながらキレ味抜群で、阪神・畑山統括スカウト、吉野スカウトらと視察した岡本スカウトは「一番(の武器)はストレート。いいピッチャーです」と評価した。
ここまでの道のりは決して順風満帆なものではなかった。1年秋に関西学生リーグ戦デビューを果たすも、3年時はけがに苦しみ、わずか4登板に。昨秋までリーグ戦未勝利だった。「苦しかったり、投げられなかったときも、自分と戦わないと強くなれないと思っていた。自分と戦いながら練習に取り組んできた」。苦しい1年を乗り越えて、再起を懸けたこの春に4勝を挙げてMVPを受賞。潜在能力が一気に開花した。
背中を追ってきた左腕の存在が成長につながった。力感のないフォームは2学年上の金丸(中日)の助言を受けて習得。大会前には東京ドームのマウンドの硬さ具合を教えてもらった。米沢は「追い付きたいという気持ちもあるので、ドラフトで指名をいただけるように」と力強く語った。
小田監督は「(同じ時期の)金丸と信頼度は変わらない。米沢の場合、まだ少し(体が)細いところもあるので、2、3年後になれば、ひょっとしたら金丸より上にいく可能性は持っている」と目を細めた。
米沢は「一球で勝負が決まってしまうので、しっかり丁寧に投げること。気を抜かないっていうところが一番(大事)になる」と、10日に行われる2回戦・北九州市大戦を見据えた。金丸が関大時代に背負った背番号「21」を継承する左腕が、全国の舞台で名を上げた。(森口友翔)
■米沢 友翔(よねざわ・ゆうと) 2004(平成16)年6月1日生まれ、22歳。石川・珠洲市出身。小学2年から宝立サマンズで野球を始め、珠洲市立緑丘中では軟式野球部に所属し、投手転向。金沢高では1年秋からベンチ入り。背番号「1」をつけた3年夏は石川大会3回戦で敗退した。関大では1年秋にリーグ戦デビュー。今春は8試合に登板し4勝、防御率1・31でMVPを受賞。180センチ、80キロ。左投げ左打ち。
★阪神の今秋ドラフト事情
全日本大学選手権を前に、5月28日に西宮市内の球団事務所でスカウト会議を開いた。ドラフト1位の筆頭候補は強肩強打の大学ナンバーワン捕手、青学大・渡部海とみられているが、投手も有力選手がめじろ押し。米沢の他にも、青学大の本格派右腕・鈴木泰成や亜大の最速156キロ右腕・川尻啓人、立命大の左腕・有馬伽久ら、高校生では横浜・織田翔希らの評価が高い。