ミラノ・コルティナ冬季五輪第1日・開会式(6日、ミラノ・サンシーロスタジアムなど)17日間の大会が幕を開けた。広域開催を象徴するように、開会式もミラノのジュゼッペ・メアッツァ競技場(通称サンシーロ)を中心に4カ所で同時に開催され、ミラノとコルティナダンペッツォの2都市で同時に聖火が点火された。日本選手団はスピードスケート男子の森重航(25)=オカモトグループ、スノーボード女子ハーフパイプの冨田せな(26)=宇佐美SC=を旗手に行進した。92カ国・地域から約2900選手が参加し、8競技、116種目を実施する。
会場につるされた巨大な五輪マークの下を、国籍も言語も肌の色も異なるアスリートたちが、手を振りながら笑顔で行進していく。平和の祭典と呼ばれるオリンピックの開幕だ。日本の旗手を務めた森重は、数えきれないほどの種類の国旗がはためく会場を見渡しながら、先頭を歩いた。
「旗の振り方に気をつけて、会場の雰囲気を楽しみながら歩きました。一瞬で終わったように感じ、ずっと続けばいいのにと思いました」
今大会は4つの会場群にまたがる異例の広域開催で、2つの都市名を冠する初めての五輪。開会式はサンシーロを含めた4会場で行われた。持続可能な方向へ進むための新たな取り組み。フィギュアスケート女子で3大会連続出場の坂本花織は「五輪はどうしても費用がかかる印象がある。今ある会場で競技をやることは、未来を考えて持続していくために必要。初めてなので、いいことも悪いことも発見できる。そしてまたいい五輪が開催されたら」と願いを込める。
第25回の冬季五輪には92カ国・地域から選手約2900人が参加。開会式では他会場の中継映像がスクリーンに映し出され、全会場の選手団が同時に行進する演出に。開会式のテーマである「調和」が強調された。一方で、ロシアによる侵攻を受けるウクライナの選手団には大歓声が送られたのに対し、パレスチナ自治区ガザを大規模攻撃したイスラエルの入場の際には大ブーイングが発生。ロシアと同盟国ベラルーシの選手は入場行進を認められなかった。理想的な開会式の実現には、まだいたっていないのが世界の現実だ。
会場でスピーチした国際オリンピック委員会(IOC)のコベントリー会長はこう述べた。「五輪には魔法がある。私たちがつながっていることを教えてくれる」。スポーツ、ひいては全力を尽くすアスリートの姿には、まるで誰もが理解できる一種の言語のように、人々の心を通わせる根源的な力がある。無数の熱狂と感動が生まれる17日間。その先には、少しでも一体感が増した世界が待っている─。そう願わずにはいられない。(鈴木和希)