1軍の主力らと汗を流すのも初めて。胸いっぱいに吸った宜野座の空気は〝濃すぎ〟るものだった。特に近本とは多くの時間をともに過ごし、すべての瞬間が学びと刺激に満ちていた。同じ班になった打撃練習ではケージの真後ろから見つめた。「独特な雰囲気を感じた。鋭い打球を放っていたので自分も見習わないといけない」。そのまま走塁も、個別練習の特守もともに行い、虎が誇るリードオフマンを質問攻めにした。
この日、2軍は練習試合の中日戦(読谷)を戦っていたが、岡田監督はケインを宜野座に呼び寄せた。実戦漬けとなってしまう前に、ケインに1軍のプレー、1軍選手の練習を見させておきたいという〝英才教育〟に他ならなかった。「一緒にやったらだいぶ違うというか、絶対プラスになると思うからな。徐々にそないしてなじんでいったらいいよ」と親心を覗かせた。あとは、結果で示してもらうだけだ。
50メートル5・8秒の快足を誇り、紅白戦2試合では4打数2安打2打点1盗塁と結果を残した。近本の背を追い、126番のユニホームを脱ぎ去る勢いで、駆けていく。
「早く2桁(の背番号)になって、一緒の舞台で戦えるように。少しでも近づけるように頑張っていきたい」
ファイト一発。やるしかない。すべて鍛えれば君もパーフェクトボディ-。ケインが岡田虎のパーフェクトな切り札になる。(中屋友那)
阪神・近本光司の打撃練習に目をやる阪神・福島圭音。走攻守のすべてを吸収しようと見つめた(撮影・渡辺大樹)★近本も「すごいうまい」
近本は福島の積極的な姿勢に「よく質問してくるな…と」と圧倒されたようすだった。3年連続でゴールデングラブ賞を受賞している名手も福島の守備には光るモノを見たといい「背走の姿勢がいい。ちゃんと走れる姿勢でボールも見ることができていたので、すごいうまいなと思いました」と高く評価した。
■福島 圭音(ふくしま・けいん) 2001(平成13)年10月6日生まれ、22歳。埼玉・秩父市出身。名前の由来は母が俳優ケイン・コスギのファンだったから。小学3年から秩父ドリームズで野球を始め、秩父一中では軟式野球部で遊撃手。聖望学園高では2年から外野手。甲子園出場はなし。白鷗大では23年春の関甲新学生リーグ戦で新記録の20盗塁、打率・526で首位打者を獲得。50メートル5秒8。171センチ、72キロ。右投げ左打ち。年俸300万円。背番号「126」