「本当なら今頃…」
朝、大阪市内の自宅を出発したトラ番・原田遼太郎はつぶやいていた。
ルーキーが合同自主トレ取材を行う鳴尾浜球場が近づくと、再び繰り返した。
「本当なら今頃…」
そう、本当なら原田はこの場所にいなかった。今頃は、沖縄各地で自主トレするタテジマの主力選手を順番に取材していく任務が決まっていたのだ。「1月勤務表」ができあがった昨年末の時点では。
オミクロンの〝出現〟が、予定をすべて狂わせた。沖縄県は「まん延防止等重点措置」を適応されており、阪神球団も「現地での取材は遠慮してください」の通達を出し、急きょ取材に関してはリモートに変更になった。原田記者のモチベーションの低下を心配したのだが…。
「球団の判断は間違ってないですし、仕方ないですよね。もう、切り替えてますよ。というよりも、ことし初めての鳴尾浜だったので、いろんな選手と話ができたことが楽しくて。やっぱり直接、目と目を向き合って取材するって、いいですね。たぶん、1面は沖縄組をリモート取材する他のトラ番が書くから、僕は気分的にも楽です」
優秀な思考回路だと思う。うちの記者だけど、ホメたい。昨秋のドラフト当日に高知まで行って取材したD1位・森木(高知高)と再会し、昨年度のD1位・佐藤輝ともしっかり会話。さらにはD4位・前川(智弁学園高)から「赤が好き!」の話を聞き出してきた。
「初の鳴尾浜」という新鮮な視点を持つ原田に「今、鳴尾浜で最も目立っているのは誰?」と尋ねてみた。意外過ぎる名前が即答で返ってきた。
「平田2軍監督です。真っ白なジャージーがグラウンドで輝いているんですよ。ことしも元気なんだなぁと感じました」
首脳陣が選手より目立っているのはどうかと思うが、元気な証拠。たぶん、ことしも若手記者が取材でお世話になります。よろしくです。
リモート取材を担当したのはトラ番・菊地峻太朗。やまほど取材した中でビビビッときたのは、小野寺が明かした大山の日常だったという。
「小野寺が言うには、大山は薬局で『R-1』(乳酸菌飲料)などの体のことを考えたものをカゴいっぱいに買っているそうです。そういう一面があるのか、と新鮮でした」
うちの菊地記者は、他のトラ番記者に言わせると「脱いだらスゴイ」体の持ち主。ラグビー、アメリカンフットボールの経験者で、自分を鍛えるストイックな一面を持つ。プロテインを愛飲し、サプリメントの知識も豊富。4番候補・大山との意外な共通点を知り、シンパシーを感じたのかもしれない。
「ひとつ気になることがあるんです。『R-1』は、三木先輩が毎日飲んでいると豪語されていました。ということは…」
そこから先は、後輩の菊地が言ってはいけない。効果がないのでは? と言いたい部分は「虎のソナタ」が代弁しよう。毎日「R-1」を飲んでも、全く効果がないタイプも世の中には存在するということだ。どんな立派なサプリでも、効能を上回るほどの食生活の乱れや運動不足があれば、どうしようもない。
愛用者・大山は、この情報に惑わされないでほしい。