2020年東京五輪マラソン代表選考会「グランドチャンピオンシップ」(MGC)が15日に東京・明治神宮外苑いちょう並木発着で行われる。男女の有力選手を各3回取り上げる連載の1回目で、男子は設楽悠太(27)=ホンダ=を紹介する。前日本記録保持者の設楽悠は、双子の兄・啓太(日立物流)の思いを背負う。
携帯電話に兄・啓太からの連絡が届いた。7月初旬、マラソンの合同練習の誘いだった。悠太はチームスタッフに頼み、所属の異なる啓太との合宿が実現。8月上旬、北海道紋別市の起伏に富んだコースを走った。
「1人だと甘さが出る。2人でやった方が中身は濃い。パートナーになってくれて感謝しています」と悠太。MGC出場を逃した啓太は、今月29日のベルリンマラソンを目指して練習強度を高めたいと考えていた。2人での切磋琢磨(せっさたくま)は、箱根路を沸かせた東洋大時代以来だった。
「あいつ(兄)の走りを見て強くなった」と悠太が言えば、「(弟が)いなかったら僕はもうこの世界にいない」と啓太。学生時代は啓太の方がタイムは速かった。悠太はその背中に食らいつき、立場を入れ替えた。
共通点は多い。負荷が大きくリカバリーに時間を要すると考え、35キロ以上の走り込みはしない。食事制限はせず、好きなものを食べる。兄弟には意志を貫く強さがある。
悠太は2017年2月の東京で初マラソンに挑戦。その姿に感化され、啓太はその10カ月後に福岡で初めて42・195キロを走った。MGCのスタートラインに立てなかった兄の分まで。「2人で勝ちにいく」。弟の決意は固い。(鈴木智紘)
★MGC
9月15日に開催される2020年東京五輪の代表選考会「マラソングランドチャンピオンシップ」の略称。17年夏から19年春までの国内指定大会で、日本陸連が定めた順位とタイムの条件を満たすと出場権を獲得。東京五輪のマラソン代表は男女3枠ずつで、MGCで男女各2人を選ぶ。残る1枠は、日本陸連が指定した「ファイナルチャレンジ」対象大会で、設定記録に到達した記録最上位が選ばれる。該当者がいない場合はMGC3位が五輪切符を得る。設定記録は男子が2時間5分49秒、女子が2時間22分22秒。