世界最大の米海軍病院船「マーシー」(艦番号T-AH 19)が初来日した。現在日本には病院船はなく、有事や災害時には海上自衛隊の輸送艦にコンテナ型の医療モジュールを搭載する即席病院船などで対応する。一方で、東日本大震災を機に改めて病院船保有議論が活発化しており、超党派の国会議員連盟も活動している。6月16日に報道公開されたマーシーとはどんな船なのかを見ることで、病院船について考えたい。
マーシーは米海軍が保有するマーシー級病院船2隻のうちの1隻。満載排水量6万9360トン、全長約272・6メートル、全幅約32・2メートル、速力17・5ノット。タンカーを大改装し、86年11月に米海軍に引き渡された。
医療設備の概要は、手術室12、集中治療室(ICU)80、ベッド数1000、X線室4、CTスキャン室1、血液銀行、酸素発生装置2台、医療検査室、薬局、視力検査室、歯科治療室など。
さらに船体中央部にヘリ用の大型飛行甲板があり、SH-60を2機運用している。船体側面には洋上で小型船から患者を受け入れるサイドポート(開口部)を備える。
通常は母港サンディエゴで米軍属18人、海軍医療要員(軍医など)58人が勤務している。いざ任務となると、最大で軍属65人、医療要員1215人を乗せ、5日以内に出航可能という。
ではマーシーがどのように機能するのかをみるために、患者への対応の流れを追ってみる。
まず活動対象地域の3~5キロ沖合に停泊する。「アジアのほとんどの港は大型船が入れる能力がない上に、港湾設備が破損しているから」と副院長のボアマー大佐(小児科医)。