【(1)助言は気持ちだけ】
「僕は野球が分からないので、何も言いません。ほんとに気持ちのことぐらいで…」
そういって謙遜するが、「その気持ち」の助言が大きかった。吉田正は3歳年上の兄・正仁さんを追い、保育園のときから地元の少年野球チームに通って、小学1年時に正式入部。代名詞のフルスイングはその頃から変わらないという。だが、決して恵まれた体格とはいえない。指導者から「そんなスイングではよくない」と、矯正を促されるのも仕方がなかった。それでも、正宏さんは言い続けた。
「思い切って振ればいい」
野球を知らない分、性格面を意識して、声をかけることを心がけた。「私は技術的なことは分からない。でも、とにかく遠くに飛ばしたい子でしたから。伸び伸びやらせたかった」。結果的に、豪快な一振りを武器に球界にムーブメントを起こそうとしている。父の後押しがなければ、現在の吉田正はなかったのかもしれない。
正宏さんのサポートはそれだけではなかった。吉田正は小学生のときから毎日、野球漬け。自宅に帰っても、兄とバットを振っていた。その光景を見て、裏庭の杉の木の間にホームセンターで購入したネットを張った。