関東地区大学野球選手権第1日(31日、横浜商大1-3白鴎大、横浜)待ってたで、虎1号や! 阪神からドラフト1位指名を受けた白鴎大・大山悠輔内野手(21)が1回戦の横浜商大戦に「3番・三塁」で出場し、一回に推定飛距離125メートルの逆転2ランを左翼席中段にたたき込んだ。チームを勝利に導き、持ち前のパワーを見せつけた豪快弾。高知・安芸の秋季キャンプ中に吉報を聞いた金本知憲監督(48)も「楽しみだから獲ったわけだから」と改めて素材の良さにうなずいた。
穏やかな風が吹く横浜の空から虎1号はなかなか落ちてこなかった。一回一死二塁。大山が相手先発・左沢が投じた内角高めの131キロツーシームをうまくバットに乗せると、打球はグングン伸びて左翼スタンド中段で跳ねた。推定125メートルの逆転2ラン。10月20日のドラフト会議で阪神から1位指名されてから初の一発だ。
「負けたら自分たちも引退なので、自分の一打で勝つことができてよかったです。タイミングは外されましたが、うまく打てたかな」
一回に1点を先制された直後だけに、仕事ぶりは余計に際立つ。その後の3打席は凡退に終わり、三遊間のゴロを捕り損ねる失策も記録したが、虎がほれ込んだ長打力はさっそく披露してみせた。
横浜スタジアムでは佐野統括スカウトと大山担当の平塚スカウトが将来の4番候補のプレーをしっかりと視察。高知・安芸のグラウンドで秋季キャンプの指揮を執っていた金本監督にもさっそく知らせが届いた。
「ホームラン打ったってね。それは聞いた」
逐一遠隔チェックしていることを明かし、投手豊作といわれていた今秋ドラフトで果敢に獲得を推し進めた未来の中軸候補について「楽しみだから獲ったわけだから」と改めて素材の高さにほれ直した。
もちろん、当の大山は自身が本塁打を放ったことを将が知っていると伝え聞いても「そうなんですか? 今は自分のことで精いっぱいで、目の前のことをやることに必死です」とおごることはなかった。
自身のレベルアップのため、空いた時間は日本シリーズのテレビ観戦にあてていた。とくに印象に残ったのは日本ハムがサヨナラ勝ちで王手をかけた第5戦。「西川選手の満塁本塁打や、岡選手が死球を当てられたシーン」だという。チーム力を象徴する瞬間が脳裏に残ったのはこの男にフォア・ザ・チームとどんな状況でもあきらめないタフな精神力が染みついているからだ。
「仲間のため、チームのために僕も勉強していかないといけない。自分も強くなっていきたいですね。(注目される)プレッシャーを感じますが、いい意味で応援してもらっていると置き換えて、力に変えていきます」
1日の中央学院大戦(横浜)を突破すればベスト4に進出する。今大会の決勝進出2チームが出場できる明治神宮大会(11-16日)を目指し、大山が全身全霊でナインを引っ張る。 (新里公章)
「あれぐらいの打球は打ってくれるよ。メンタルも強いし。ライトへの打球(第3打席の右飛)もよかった」
★日本一監督から
大山は日本一の将から英才教育を受けたことがある。白鴎大(栃木県小山市)経営学部の教授に日本ハム・栗山監督が名を連ねており(現在は休職)、「大学1年生のときに講義に来られたのを覚えていますね」と振り返る。栗山監督はこれまで「スポーツ産業論」などの講義を行ってきた。日本シリーズを制した指揮官との時間はまさに世界一受けたい授業だった。