契約更改を終え、会見に臨む阪神・近本光司=甲子園球場 (撮影・水島啓輔) 考えるな、感じろ! 阪神・近本光司外野手(28)が7日、西宮市内の球団事務所で契約更改交渉を行い、2000万円アップの年俸1億7000万円でサインした。来季は自らの思考の先、認知を超えたプレーの量産が目標だ。伝説のアクションスター、ブルース・リーの名言を体現し、新しい自分を創り上げて来季こそ虎を〝アレ〟に導く。
新生タイガースの船出に、新しくなった自分で臨む。理想とはまた違う。思考を超えた先に待っている新境地-。近本は世界的アクションスターの名ぜりふに通ずる打撃理論で来季の目標を語った。
「理想と違うプレーがどれだけ出てくるか。自分の中にないプレーが出たときの方が面白い。そのプレーを1個でも2個でも増やして作っていけたらと思います」
不動のレギュラーとして迎えた4年目のシーズンは132試合の出場で打率・293。30盗塁で3度目の盗塁王、2年連続でゴールデン・グラブ賞&ベストナインも戴冠し、2000万円アップの昇給を勝ち取った。
セ界屈指の外野手として確固たる地位を構築。ただ、見据える高みはさらに上だ。「自分の思考よりも先に行動の方が超えている、僕は『認知を超える』と言っているんですけど、そういったプレーをもっと増やしていきたい」。考えるより先に、体が動く。まさしく、考えるな、感じろ! 映画「燃えよドラゴン」でブルース・リーが弟子に言った「Don’t Think. Feel!」の精神だ。
近本は「こういう狙いで、こういうヒットを打ちたい。でも、違う動きができたとなったら、それをうまく使えるようにしていきたい、となる。それが新しく成長していくということ」と語った。思考を行動が超えたとき、また、新しい自分に出会うことができる。今季、それを象徴する一打があった。
「柳(中日)の内角カットボールをライト前にヒット。それが自分の中では連続試合の中で一番よかった」
7月3日の中日戦(バンテリンドーム)。先発・柳から放った右前打を近本は「うまく反応した。自分が理想とかイメージしているヒットじゃなかった」と振り返った。続く6日の広島戦(甲子園)で、球団タイ記録の30試合連続安打を達成。重圧の中、考えて、狙って、〝理想通り〟のヒットを積み重ねた30試合だった。だからこそ、感じるがままに体が動いたこの一打に成長の兆しを見た。
近本は「投手と対戦する中で自分自身を創り上げていく。捕手の配球の考え、狙いをもっと創り上げる。チームでもそうだし、ファンの中でも、自分自身を創り上げる」と、来季のテーマに「創り上げる」を掲げた。
「監督が新しくなって、チームも新しい阪神タイガースになる。そういった意味では選手としてもすごい楽しみです」
岡田新体制で迎える2023年。新しい虎を、その中心で創り上げていく。いままでの自分を超えた、新しい近本が18年ぶりの〝アレ〟をグッと手繰り寄せる。(原田遼太郎)
■考えるな、感じろ!(Don’t Think. Feel!) 1973年に公開されたブルース・リー主演の映画「燃えよドラゴン」で、リーがカンフーの蹴りを教えているシーンでのせりふ。五感を研ぎ澄ませろと教えるが、頭で考えてから動こうとし、なかなか上達しない弟子に対して放った言葉である。リーは公開直前に32歳で死去したが、同作のヒットで人気は世界中に広がった。