7月30日に美浦トレセンで取材した際のアトミックリーチ。厩舎のエース格としても期待される(撮影・吉田桜至郎) 毎週のように来春のクラシックが楽しみになる逸材たちがデビューしている夏の新潟2歳戦。今週も楽しみな新馬が越後路に集結しています。
8日の新潟芝1800メートルでデビューを迎えるアトミックリーチ(美浦・宮田敬介厩舎、牡、父コントレイル)は、特に注目している1頭です。宮田厩舎のPOG取材で春に訪ねた際、「コントレイルに似たサイズ感とバランスで、お父さんにそっくりだなと思います。いつ見ても毛づやがいいので目立ちますし、これは楽しみです」と指揮官から高い評価を与えられていた本馬。トレセンでも均整の取れた馬体が際立っていて、見かけるたびにただならぬオーラを感じています。
5月末のゲート試験合格後は一度放牧へ出され、7月上旬から時計を出し始めました。追い切りでは美浦Wコースで好時計を連発。トレーナーは「気持ちが変に舞い上がるところもなく、1週前追い切りはメンコを外して追い切ったけど、道中のハミ掛かりは一段上がったかなという感じ。直線で前の馬に取りつくときの雰囲気もよくなっています」と評価する一方、「強いて言えば、時計ほどスピード感がない。筋肉の質が柔らかすぎるところがあって、ギアの上がりに物足りなさを感じる」と課題も口にします。慎重な言葉選びは、求めるハードルが高いからこそ。現に「時計は出ているので持っているものは確かですし、これくらいで結果が出てくれたら、秋が楽しみですね」と期待を隠せません。
アトミックリーチは2025年のセレクトセールに上場され、税抜き2億8000万円で落札された高額馬。税込みなら3億800万円で、担当する草野涼調教助手は「他の人から『それ3億円の馬だろ』と言われるので、『そうだ、そうだ!』と返しています」と笑います。ちなみに、値段にちなんで「サンチャン」と名付けることにしたとか…。高額馬というプレッシャーを感じさせない、厩舎の明るい雰囲気もまた、この馬の順調な調整を支えているように映りました。
強みについては「やっぱり息がいいところですね。追い切りのあとも息の乱れがないですし、今のところ『ゼーゼー』なっていることがない。このまま最終追い切りもさらっとやって、順調にいければ自信を持って行けるかなと思っています」と心肺機能が優れているとのこと。
厩舎は昨夏、新潟でゾロアストロをはじめ、オルネーロ、アートバーゼルなどの2歳馬が続々と勝ち上がり、存在感を示しました。1日の札幌ではジオ(牡、父シスキン)が今年の2歳世代として初めて勝ち上がりましたが、アトミックリーチもその流れを加速させることができるか。楽しみな初陣となりそうです。(東京サンスポ・吉田桜至郎)