「VIVANT」第14話の場面写真。野崎守(阿部寛)©TBS 堺雅人(53)が主演を務めるTBS系日曜劇場「VIVANT」(日曜後9・0)が25日に放送され、野崎守(阿部寛)の行動に注目が集まっている。
シーズン2において、公安の野崎が取った一連の行動について、裏切り者とみる視聴者が多い。別班の売り渡し疑惑、中国の諜報組織シンシーへの接近、そして何より敵に対して「ジャミーンらの居場所」を明かしたことは、一見すると裏切りに映る。
しかし、野崎の行動の真意は裏切りなどではなく、「公安(表の警察組織)」と「別班/個人(裏の精鋭・家族を持つ男)」という、互いの立場の違いが生んだ正義と正義の衝突であるとした場合、野崎のとった行動はうなずけるものになるのではないだろうか。
一般的に公安の使命は、「国家の平和と国益を死守すること」にある。この冷徹な使命を帯びる野崎にとって、シンシーという組織が日本国内で暗躍することは絶対に阻止しなければならない。もし、野崎が敵に対して、居場所を隠し続ければ、シンシーは日本国内で、誰を、どこで、どのような手段で狙うか分からない。
そこで野崎が指した冷徹かつ合理的な一手が、居場所を敵に提示することだった。敵の攻撃目標を単一の点に絞り込むことで、迎撃体制を整えられる戦場へ敵を引きずり出す。乃木たちへ先回りの時間を与えられるというわけだ。
一方、乃木(そして人格F)の立場はまったく異なる。 過酷な宿命を背負ってきた乃木にとって、薫とジャミーンは人生で初めて手に入れた家族である。第22話において、野崎が敵に居場所を教えたと知った際、Fは「ふざけんなよ!」と激怒した。この激怒の真意こそ、両者の「立場の違い」を物語っているのではないだろうか。
乃木もFも、野崎が取った策が「国家防衛としての策」であることを頭では100%理解していたはず。しかし、それを理解できても、感情としては到底許容できなかった。
野崎は裏切り者ではない。また、2人の葛藤は善と悪の戦いではない。「全体と国益を守る大義」と「目の前の一番大切な人を守る愛」という、2つの正義の激突なのではないだろうか。