会見する巨人・松井秀喜新監督=23日午後、東京都港区(梶山裕生撮影) 〝自由に考察〟させていただきます。松井氏は長嶋さんとの「約束」について「皆さんがご自由に考察してください」と明かさなかったが、現役引退から14年経ち、監督を引き受ける最大の理由になったのであろうと想像する。
昨年6月4日未明、長嶋さんの自宅を弔問した松井氏は、次女・三奈さんの計らいで棺に眠る恩師と約2時間、二人きりで過ごした。「遺志をいかにして継ぐのか」と報道陣に問われ「長嶋監督と生前、約束したこともありますので。ここではお話しすることはできませんが、その約束を果たしたい」と語った。ほぼ初めて松井氏を取材した記者の目にも、相当な覚悟だと伝わった。
もう一つは家族の存在だ。松井氏の巨人監督就任は、ファンならずとも待ち望む理想の未来だった。しかし、2012年に米大リーグで引退後は何度も監督候補に挙げられながら、米国を生活拠点とした育児など家族との時間を優先した。この日の会見では「私にとって何より大切なもの」とする夫人と子供たちの後押しが決め手になったと明かし、「ここで受けなくちゃいけない」と決断した。
球団にとっても、最も松井氏を必要とするタイミングを迎えた。山口オーナーが「一つの危機であった年。力強く乗り越えて強さを維持していくには、松井監督にお願いするしかない」と明かしたように、今季の巨人は阿部前監督が5月に長女への暴行容疑で逮捕されて辞任、2年連続のV逸など暗い話題が先行していた。近年は野球人気の陰りも進んでいる。
〝ゴジラ〟の圧倒的なカリスマ性には、そのすべてを好転させる力がある。「ジャイアンツに対する愛が最後はすべて背中を押した」と語った松井氏。機は熟したということだ。(2015年~巨人担当、現キャップ・谷川直之)