5回、中谷潤人を攻める井上尚弥(右)=東京ドーム(撮影・佐藤徳昭) プロボクシングのダブル世界タイトルマッチが2日、東京ドームで行われた。メインイベントの4団体世界スーパーバンタム級タイトルマッチは、4団体統一王者の井上尚弥(33)=大橋=が挑戦者でWBA、WBC、WBO1位、IBF3位の中谷潤人(28)=M・T=に12回3-0判定勝ち。自身の持つ男子史上最多記録を更新する7度目の4団体王座同時防衛に成功した。
尚弥は無敵の自らを追いかけてきた中谷の存在から「減量すらも楽しめた」という高いモチベーションでリングに上がり、絶対王者の地位を守った。
プロ32戦全勝同士で、米専門誌「ザ・リング」の全階級を通じた最強ランク「パウンド・フォー・パウンド(PFP)」で尚弥は2位、中谷は6位。PFPにランクインしている選手同士の日本人対決は史上初で、名実ともに〝史上最高の日本人対決〟だった。
プロボクシングの東京ドーム興行は2024年5月6日に34年ぶりに開催されて以来、2年ぶり4度目。前回は日本選手初のメインイベンターを務めた尚弥が元世界2階級制覇王者のルイス・ネリ(メキシコ)に6回TKO勝ちした。尚弥がプロ27戦目で初めてダウンを喫する場面もあり、4万3000人の観客が熱狂。今回はそれをはるかに上回る注目度で、観戦チケットは4月1日に早々と完売。超満員となった観衆の大歓声が東京ドームを包んだ。
待望の日本人とのビッグマッチだった。日本人対決は16年12月に河野公平(ワタナベ)に6回TKO勝ちして以来、21試合ぶり。22年1月には「ファンが見たい試合を組んでいきたい。日本人同士の闘いの実現に向けていきたい。ボクシング界を盛り上げよう」と井岡一翔(志成)にラブコールを送ったこともあった。
4月10日に33歳を迎え、6歳で始めたボクシング人生は終盤に差し掛かっている。強すぎるがゆえにライバル不在といわれる時代もあった。バンタム級時代の最後の方からは「ここまできたら最後まで強い井上尚弥を見せ続けたい。ファンをがっかりさせたくない。負けずに引退したい。(ライバル候補となる)若い選手が絶対にここから出てくると思いますよ。自分にとってのラスボスは誰だ? じゃなくて、いつまでも若い選手たちのラスボスでいたい」とライバルとなる若手の台頭を予感していた。そこで上り詰めてきたのが中谷だった。
5歳下の長身サウスポーの難敵を下し、世界戦28連勝。こちらも自身の持つ世界戦連勝記録を更新し、世界戦通算28勝で通算記録でも史上2位タイに浮上した。
この東京ドーム興行のキャッチコピーは「THE DAY -やがて、伝説と呼ばれる日。」。〝モンスター〟は伝説の日の主役の座を譲らなかった。(尾﨑陽介)