七回、本塁打を放つ阪神・佐藤輝明 =神宮球場(撮影・長尾みなみ) (セ・リーグ、ヤクルト2-10阪神、6回戦、阪神4勝2敗、30日、神宮)雨を切り裂き、神宮の夜空に放物線が描かれた。完璧なスタートダッシュを象徴する確信のひと振り。4月最後の一戦。3つ目の冠を手にした阪神・佐藤がゆっくりとダイヤモンドを一周した。
「よかったですね。いい状態をキープできればなと思います」
七回1死の第4打席、虎党が大興奮に包まれた。高梨の135キロフォークを一閃。打った瞬間、スタンドインと分かる打球が右翼席へと吸い込まれていった。3試合ぶりの一発は森下と並んでセ・リーグトップとなる7号ソロ。昨季の本塁打王が〝定位置〟へと躍り出た。
八回1死一、二塁の好機では代わったばかりの荘司からトドメの中前適時打を放った。4打数3安打2打点の大暴れ。打率・376とし、リーグトップを独走している。25打点も同1位。そして本塁打数もトップタイと開幕から約1カ月でついに三冠王となり、3、4月の月間MVPはほぼ確実なものとなった。
球団史上初のセ・リーグ連覇を目指す2026年シーズン。藤川監督はチームの顔、中心選手として事あるごとに佐藤の名前を挙げるようになった。叱咤激励ともとれる指揮官からの指名。佐藤は力を込める。
「それは意気に感じますよね。監督がそう言ってくれるから、僕はしっかり仕事を果たさないといけない」
不動のリードオフマン・近本が負傷で離脱し、2番の中野もベンチスタートが続いている。チーム状況は決して万全とはいえない。それでも、猛虎打線には折れない大黒柱がいる。主要打撃部門のトップに立つ三冠王が、あらゆる暗雲をひと振りで吹き飛ばした。
「いい準備がね、しっかりできていると思うので、続けていきたいと思います」
チームとしての目標に掲げる「連覇」、そして個人目標の「首位打者」「三冠王」へ、スタートダッシュは完璧。頼もしい4番が5月も勝利のアーチを架け続ける。(原田遼太郎)