一回、安打を放つ阪神・中野拓夢 =甲子園球場(撮影・泰道光司) (オープン戦、阪神4-1西武、11日、甲子園)阪神はオープン戦首位タイに浮上した。「2番・二塁」で先発した中野拓夢内野手(29)は、一回から「1番・中堅」の近本光司外野手(31)と連打。鮮やかな先制へつなげ〝チカナカコンビ〟の健在を示した。また、この日で東日本大震災が発生してからちょうど15年。山形県出身で東北福祉大時代の4年間を宮城県で過ごした中野は、これからも東北のために戦う-。
次に本拠地へ戻ってくるのは春本番の開幕後。オープン戦最後の甲子園での一戦で、虎の1、2番は本番モードだ。一回の攻撃でゲームの主導権を奪い、中野はしてやったりの表情だった。
「先頭にヒットを浴びた後は早くアウトが欲しいと思っている。そこでつなげられた。すごく相手投手にダメージを与えられたかなと」
一回先頭の近本が中前打。西武の先発・与座がまだ落ち着かないところで、中野もカウント1-1からの外角低めシンカーを巧みに拾い上げて右前へ運んだ。近本は快足を飛ばし一気に三塁を陥れる。そして、3番に入っている中川の犠飛で先制。鮮やかすぎる流れをみせつけた。
「バント(のサイン)が出ないとき、ヒッティング(打て)で一、三塁という状況をつくれば最高だと思う」
この日、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)を戦う日本代表が米マイアミへ飛び立ち阪神勢の佐藤、森下、坂本も決戦の地に降り立った。まだまだ主力はそろっておらず、巨人とぶつかる3月27日の開幕戦(東京ドーム)までも2週間以上ある。それでも〝チカナカコンビ〟は、いつ開幕してもいいような仕上がりだ。近本は2打数2安打。中野はこれで3試合連続安打。先制攻撃も効いて西武に連勝し、7試合を残してオープン戦首位タイとなった。今年もこの男たちが、プレーボール直後から虎を引っ張ってくれる。
試合前、東日本大震災の犠牲者に黙とうする阪神の選手ら =甲子園球場(撮影・泰道光司)山形県天童市出身で、東北地方で生まれ育った中野にとっては特別な日でもあった。この日で東日本大震災から15年となり、甲子園にも半旗が掲げられた。試合開始前には両軍でベンチ前に整列し約1分間、黙禱(もくとう)をささげた。「僕は中学生でしたが、山形県でもすごい揺れを感じた」。日大山形高を経て、仙台市にある東北福祉大に進学。立ち上がろうとする被災者の姿も目の当たりにした。
「(15年の歳月に)今思えば早いなと思いますけど、まだまだ復旧作業をしているところもあると思う。東北のみなさんに元気を与えられるようなプレーをしたい」
決意を新たにして臨んだ一戦から、シーズンへ向けた総仕上げの時期に入る。
「これからも、きょうみたいな打撃をできるようにしていきたい」
今年6月28日で30歳。虎党はもちろん、応援してくれる東北の人たちを喜ばすべく、今年も走攻守でチームを引っ張る。(三木建次)