幅広いジャンルを歌いこなす坂本冬美だが、「基本は王道の演歌」と艶やかな着物姿で取材に応じた=東京・神宮前
ギャラリーページで見る歌手、坂本冬美(58)が4日にデビュー40周年を迎え、2027年は人生の節目となる還暦になる。新曲「遠い昔の恋の歌」は甘く切なくほろ苦い遠い昔の恋を歌った郷愁漂う楽曲だ。「等身大の私を歌っています。お嫁にも行かず40年歌っていますが、幸せな歌手人生だった」と言葉をかみしめ、「アラ還世代には響くんじゃないかな」と手応えを感じている。「これからは自分のペースで50周年を目指そうと思うの」と未来の展望も語ってくれた。(ペン・山下伸基、カメラ・加藤圭祐)
和歌山県から上京し、19歳でデビューして40年。演歌・歌謡界のど真ん中を生きてきた。来年3月30日には60歳になる。「人生で一番うれしかったこと? やっぱり歌手デビューかな。子供の頃からなりたかったから。ただ、当時は早く結婚して子育てをして余裕があったら歌ってもいいかなって感じでした」と意外な言葉が飛び出した。
今年の勝負曲「遠い昔の恋の歌」は、2011年に「おかえりがおまもり」でタッグを組んだ同い年生まれのシンガー・ソングライター、川村結花(59)から「冬美さんのために温めていた」と提供された。昔の恋人と再会し、あのとき違う人生の選択をしていたら…そんな思いをノスタルジックなジャズ調のメロディーに乗せて歌っている。
「今は一人ですけど、結婚しようかなと思ったときがあったんです。この詞を見たとき、タイムスリップして違う選択をしていたらどうなっていたんだろうと思って…」と言葉を飲み込み、「ただ間違ってなかった。トータルで幸せな人生だった。当時の恋愛も含めて切なさもあるけど、この歌で一生懸命生きていた時代の自分をいとおしく思えた」と重ね合わせた。
カップリング曲「しあわせ十色」はノリのいいラテンのリズムで、私は私、ゆっくり流れのままに生きていく…という想いを歌った、同じく川村の書き下ろした楽曲だ。
「元気を届けられるような詞を書いてほしいとお願いしたら、この曲が届いたんです。何で私の気持ちが分かったのって思いました。頑張ってきたんだから、もっと肩の力を抜いて、ときには立ち止まったりしながら気持ちを楽に生きていこうよという応援歌です」
ジャズテイストにラテン系。脱演歌の〝ニュー冬美〟楽曲が続く。デビュー曲のド演歌「あばれ太鼓」から今や演歌のスタンダードナンバーになった「夜桜お七」、ビリーバンバンの名曲をカバーした「また君に恋してる」まで幅広いジャンルを歌いこなす歌唱力、表現力は右にでるものはいない。
「いい意味で変化を追求してますが、和服を着て王道の演歌を歌う基本は崩したくない。だからこそ、いろんなことにチャレンジすることで面白みが出てくるんだと思うんです」と力を込める。