メジャーのレギュラーシーズンは、いよいよ大詰め。3年連続の本塁打王に挑んでいるドジャース・大谷の前に、強力なライバルが立ちはだかっている。フィリーズの大砲、シュワバーだ。
フィリーズへ移籍した2022年に46本塁打で初タイトルを獲得し、23年は47本、昨季は38本。今季は8月28日(日本時間29日)のブレーブス戦で1試合4本塁打を記録するなど、自己最多を更新し続けている。
打撃の特徴は球を捉えるポイントが前(投手寄り)にあること。ほぼ上半身だけを使い、腕を伸ばして打っている。この打ち方は遠心力がより働き、軽く打っているようでも飛距離が出て、角度がつけば本塁打になる。ポイントが後ろ(捕手寄り)の大谷が本塁打を量産できるのは、パワーによるところが大きい。極端な例えをすると、ワイヤを使って投げるハンマー投げと、腕で投げる砲丸投げの違いだ。
シュワバーは本塁打と打点でリーグトップを走る割には、米国の記者の間では評価がそれほど高くない。大谷と同じDHでも、大谷は投打二刀流だし、脚力もトップクラスだからだろう。
私は今春、青柳(現ヤクルト)が招待選手として参加していたフィリーズのキャンプ地、フロリダ州クリアウオーターも訪れ、シュワバーが一人で黙々と一塁の守備練習に励む姿を目にした。守備も上手な方なのだが、一塁には中心選手のハーパーがいて守る機会に恵まれない。個人的には、シーズンMVPでもおかしくないと思っている。
本塁打王争いだけでなく、レベルの高いナ・リーグ東地区を独走で制したフィリーズは、ドジャースにとって2年連続世界一への大きな壁になるだろう。エース右腕のウィーラーが8月に右腕上部の血栓を除去する手術を受けて離脱したのは痛手だが、それでも先発陣はそろっているし、投打ともに死角がない。
本拠地フィラデルフィアは、米国の中でも野球熱が高い都市。ポストシーズンともなると異常な盛り上がりをみせ、相手チームは大きな圧を感じる。両チームが対戦するとすれば、地区シリーズの可能性が高い。どちらが勝つのか今から楽しみだ。(サンケイスポ-ツ専属評論家)