オリックス・岡崎大輔スカウト(26)が、1日の日本ハム戦(京セラ)でプロ初勝利を挙げたドラフト6位新人・片山楽生投手(22)の秘話を明かした。一目惚れしたという衝撃のブルペン投球とプロのレベルまで急成長できた要因とは―。周囲から頼られる人間性と投手としての将来性を兼ね備えるルーキーへ「金子千尋さんのような投手になって」と願った。
初勝利を挙げた日本ハム戦はずっとライブ映像で見ていました。ビハインドの展開で登板することが多いなかで、よく粘り強く抑えられていると思う。特段、速い球が投げられるわけではないし、鋭い変化球があるわけでもないけど、打者のタイミングを外したり、彼なりに考えながら頑張って食らいついてやっているのだなと感じます。
片山楽生という投手をチェックし始めるようになったきっかけは昨年5月でした。NTT東日本の練習を見学させてもらったときに、当時の平野宏監督から「片山の投球を見てやってくれ」と言われてブルペンで真後ろから投球を見たときにストレートが走っていてすごくよかった。実は2カ月前の3月の楽天3軍との練習試合で投げる姿を見たときの印象は正直、全然(駄目)でした。それから数カ月で見違えるような急成長した姿を見て驚きました。雲泥の差でしたから(笑)。
良くなった理由の一つに投球フォームを変えたことが大きかった。テークバックの小さい、いわゆるショートアームの投げ方に変えたことでリリースのタイミングが安定してすごく改善されていた。社会人野球も結果を出さなければ、クビになる厳しい世界。そんな環境で生き残るために試行錯誤していたのだなと感心しました。
それからはオープン戦や公式戦を見に行かせてもらいましたが、重要な試合ではなかなか登板させてもらえなかった。そんな中でも僕らスカウト陣が評価していたのは彼の人間性。高卒で入社して4年目に投手リーダーに任命されていました。年上の選手が多い中でも先頭に立って練習をやっていたし、何より良い表情で野球に取り組んでいた。生粋の野球小僧ですし、周りに『楽生が頑張って投げているんだから、俺らも頑張ろうぜ』と思わせる、ひたむきな姿勢を評価していました。
年齢的には大卒の選手と同学年。もし東京六大学や東都大学野球でプレーしていたらもっと騒がれてもおかしくなかったと思うし、まだまだ球も速くなるし、変化球も良くなる。社会人卒なので即戦力とみられがちですけど、投手としての伸びしろも含めて推薦していました。
初勝利を挙げる直前の7月29日に京セラドームに行ったときに片山と話す機会がありました。その時までは防御率0点台を維持していたので「何で抑えられているの?」と冗談ぽく聞いたら「僕もわかりません」と笑っていました。プロの世界は結果がすべてですから、活躍できている理由なんか考えなくてもいいのかもしれません。
宮城や曽谷のように150キロがコンスタントに出せる投手もすばらしいですが、片山には金子千尋さん(オリックスと日本ハムのOBで、現日本ハム2軍投手コーチ)のような投手になってほしい。コントロールがよくて、多彩な変化球で打ち取れるスタイルが彼の理想であり、完成形だと思う。1年目から1軍で投げさせてもらえることは貴重な経験ですし、プロに入ってここまでやってこれたのは彼の努力のたまもの。これからもけがなく頑張ってもらいたいですね。(オリックス・バファローズスカウト)
■片山 楽生(かたやま・らいく) 2002(平成14)年10月7日生まれ、22歳。北海道音更町出身。小学2年に野球を始め、音更町立共栄中では軟式野球部に所属し、3年夏には全日本大会で4強。白樺学園高の2年秋には全道大会で優勝し、明治神宮大会で4強。NTT東日本では都市対抗と日本選手権にそれぞれ3度出場。D6位でオリックス入団。今季は11試合で1勝0敗、防御率1・72。177センチ、81キロ。年俸800万円。投手。右投げ左打ち。背番号「49」