今月10日。巨人、ヤンキースなどで活躍した松井秀喜氏(50)=ヤンキースGM付特別アドバイザー=が、自身が主宰するNPO法人「Matsui 55 Baseball Foundation」の野球教室を東京都内で開催。日本での開催は今回が11回目、米国での開催を含めると通算34回目を数えた。
第1回から松井氏の一貫したスタイルが細かな技術指導をしないこと。もちろん、キャッチボールやゴロ捕球などの基本については声を掛ける。ただ、自ら打撃投手を務め、一回の野球教室で400球前後投げるという打撃練習ではひたすら優しいまなざしで見守る。
「その場で言っても、頭がパニックになっちゃうでしょ。『野球をもっとうまくなりたい』、『これからも続けたい』という気持ちを大きくすることが活動の目的。だから、打撃投手もそれぞれのお子さんが気持ちよく打てるスピードに合わせる。最後の1球でいい当たりで終わってほしいし、『今日は楽しかったな』と思って帰ってくれることが一番。だから、イップスにでもならない限り、投げ続けますよ」
この思いの背景にあるのは、加速する野球離れだ。一例を挙げるなら、全日本軟式野球連盟(JSBB)に登録する学童チームは2010年は1万4824チームだったのが、2024年には8680チームまで減少。15年間で実に6144チームが消滅している。長時間練習や声を荒らげるなど旧態依然とした指導、野球用具の高騰などさまざまな理由はあるが、子供が野球をやめてしまった一番の理由はシンプルに「楽しくないから」との回答が寄せられている。
子供たちにとって、最大のモチベーションは、いつの時代も「楽しさ」なのである。それを知っている松井氏だからこそ、「教えないスキル」を大事にしている。(東山貴実)