上方漫才協会大賞後の記者会見。(左から)ドーナツ・ピーナツ、中田カウス、令和ロマン 両親を説得する。お笑い芸人になるための第一関門はなくなりつつあるようだ。NSC吉本総合芸能学院(NSC)で特別講師を務める中田カウス(75)は1月13日になんばグランド花月で行われた自身が会長を務める上方漫才協会大賞後の会見でこう嘆いた。
「今年NSCにすごく生徒がいるんですけど、反対された子が数人しかいない。それが危険。『出ていけ』『バカタレ』『芸人にするために育てたんじゃない』と言われてもするのが才能」
かつてお笑い芸人になるためには師匠に弟子入りするか、付き人になるかしかなかったが、近年はお笑い養成所を経て芸能事務所に入る。カウスの所属する吉本興業は1982年にNSC大阪校を開校。1期生のダウンタウンらが活躍し、現在は大阪、東京、札幌、名古屋、広島、福岡、沖縄の7都市にある。
NSC東京・大阪校に入学する場合、入学金11万5000円、年間授業料33万円、年間施設使用料5万5000円の計50万円が必要になる。10代~20代の若手芸人にとっては大きな額だが、カウスによると「入学金を親が払ってしまう」ケースがある。
「その世界に入ったときにどないかして親に安心していただく。親孝行の気持ちを持ちながら頑張る。後ろめたさを持ちながらやらないといけない仕事」
漫才コンビ、中田カウス・ボタンとして一時代を築いたカウスも若かりし頃は中田ダイマルに師事し、芸を磨いた。若い時の苦労は買ってでもせよ─。上方漫才の重鎮は時代ともに変わりゆくお笑い界を時に優しく、時に厳しく見守る。(柏村翔)