さぁ逆襲だ! 交流戦で12勝6敗の2位と奮闘し、セ・リーグ4位に浮上した阪神が14日、リーグ戦再開となる17日のDeNA戦(甲子園)へ向け、甲子園室内で全体練習をスタートさせた。首位ヤクルトとのゲーム差は12・5。チーム最年長の糸井嘉男外野手(40)は超強気な超人節でナインの思いを代弁した。
毎試合、毎週のように多くを語る男ではない。それでも、仲間や後輩、チームを思う熱い気持ちが、節目節目でこぼれ出る超人でもある。最年長ながら、必要とあれば自分より20歳ほど若いメンバーとも息を合わせ、苦しむチームをもり立てながらここまできた。だからこそ、糸井がいま解き放つ言葉は、チームの総意に違いなかった。
「みんな、雰囲気もいいですし、昨年と真逆のことを起こしたいなと思います」
ついに宣言した。「真逆」が指すのは、大逆転Vをやり返すということ。開幕直後の1勝15敗1分けという屈辱的なつまずきはあった。交流戦で盛り返したが、ヤクルトも負けず、ゲーム差は詰められないまま、まだ「12・5」ある。だが、本来の力を発揮し始めた後輩たちを、自分自身を、糸井は信じていた。
首位を快走していた昨年はちょうど同時期の交流戦終わりで、ヤクルトとのゲーム差が最大の「7・0」あった。それが終わってみれば、わずか5厘差で優勝をさらわれる形になった。
数字上は、真逆からさらに大幅に上積みしなくては、かなわない。今ここから虎がVを目指すと言っても、誰かは笑い、また別の誰かは相手にもしないかもしれない。それでも、この世界で他のどの選手より多くのシーズンを経験し、誰よりジッと鋭い視線でチームを見つめてきたはずの糸井が、大マジメに優勝すると言っている。矢野監督は真正面から受け止め、呼応した。
「ここで終わりだとは嘉男が言ってくれるように誰も思っていない。『ここからさらに行くよ』と、嘉男がみんなの声を代弁してくれたと思うしね。全員がそれを疑っていないと思う」
そして、糸井の存在こそが、チームの強みだ。ここまで48試合に出場し41試合で先発出場。打率・241、3本塁打、22打点ながら、得点圏打率・326と勝負強さが光る。毎日スタメンに名を連ねることはなくとも、たしかな結果を残す。後輩たちもそんな糸井の背中を見つめ、島田や山本、熊谷ら途中出場が多かったメンバーが台頭してきた。指揮官が「チーム内の競争もいい形になっているし、後半戦にどんどん巻き返すというか、そういうのは全員思っていてくれている」と手応えを深めている。
梅雨入りした関西は強い雨と風に見舞われ、17日のDeNA戦へ向けた再始動は主に室内練習場での練習からとなった。そんな中でも、7月31日に41歳となる超人は、いの一番に打撃ケージにもぐり込んで力感に満ちた打撃練習を行った。「まあ老人なので、まずは体のケアを、な!」と周囲を和ませつつ、激しさを増していく残り78試合へ踏み出す。
「もっともっと貢献できるように、当たり前ですけどね。積み重ねていこうと思います」
昨季も「矢野監督を胴上げしたい」と言い続けていた。それが、キャンプで音頭を取った「予祝胴上げ」につながって、まだ実現させるつもりでいる。球団史を超えてしまう〝メーク燕返し〟へ、超人が導く。(長友孝輔)
◆最近の大逆転優勝あらかると
★メークドラマ(1996年、巨人) 首位との最大ゲーム差は11・5。長嶋監督が「メークドラマ」と宣言し、夏から広島を逆襲。100試合目で首位に立ち、10月6日の中日戦(ナゴヤ)でリーグ優勝を決めた。
★メークレジェンド(2008年、巨人) 開幕から独走する阪神を追って、9月に引き分けを挟んで12連勝など快進撃。開幕141試合目の10月8日の直接対決(東京D)で勝ち、シーズン初の単独首位。優勝マジック2を点灯させ、そのまま頂点に立った。13ゲーム差を逆転したのはセ・リーグ史上最大。
★オレ流(10年、中日) 開幕ダッシュに失敗。首位ヤクルトに最大10ゲーム差を付けられたが夏場から本領発揮。9月22日に落合監督の退任が発表される中、10月18日の横浜戦(横浜)で引き分け、球団初の2連覇を達成した。