■まずは「1年で支配下登録」 菊地は高校時代、午前3時半に起床して始発のフェリー船に乗り、練習試合を重ねた。甲子園出場はならなかったが「1年で支配下、1軍まで行けるように」。さらに〝恩師〟の前で「先発として200勝」と壮大な目標も掲げた。
左脚を高く上げるマサカリ投法で通算215勝を挙げた剛腕は「先発して六回で代わるんじゃねえぞ。(支配下指名も)育成も同じ。年齢も関係ない。最低100勝だ」と説いた。そして、おもむろに立ち上がり「フォークは持ち球か?」と〝実演〟を始めた。
落差のあるフォークボールは村田氏の代名詞。表彰式の待合室にあった水入りのピッチャーやカメラを、伝家の宝刀の握りと同じように右の人さし指と中指で挟んで軽々と持ち上げた。タキシード姿で「こうやって指を開く練習をするんだ」と熱く訴えかけ、「手首を立てたまま(ボールを)抜く感じ」などと投げ方のヒントも伝えた。
直球とスライダーを軸にする菊地は、フォークはまだ習得途上。「幅が広がる」と縦の変化球の完成に意欲を示し「自分にはない感覚。手首の角度にしても今まで教えられたことはなかった。本当にいい話でした」とうなずいた。
巨人の育成選手は40人超。厳しい競争が待つ。「巨人に入って勝ちます」。若き右腕は50歳上の大先輩に背中を押され、佐渡島で始まった夢の続きを思い描いた。
◆離島甲子園 全国の離島に住む中学球児が集う大会で、正式名称は「全国離島交流中学生野球大会」。村田氏が開催を推進し、2008年から毎年夏に各地の離島で実施。10自治体で始まった当初から近年は20以上が参加する規模に拡大している。菊地は佐渡市で行われた14年大会に同市選抜で出場(隠岐の島との初戦で敗退)。20、21年はコロナ禍で開催が見送られた。
◆HEROs AWARD サッカー元日本代表の中田英寿氏が発起人となり、日本財団(笹川陽平会長)が2017年に立ち上げた「HEROs」プロジェクトの一つ。競技の壁を超え、アスリートの社会貢献活動を表彰している。通算5回目の開催となった今年の表彰式は今月20日に東京・港区のThe Okura Tokyoで開かれ、男性部門を村田氏、女性部門を陸上100メートル障害日本記録保持者の寺田明日香、チーム・リーグ部門をバスケットボールB1千葉が受賞した。
★島出身の主なプロ野球選手 通算165勝の佐藤義則(阪急、オリックス)は北海道・奥尻島出身。ほかに長崎・壱岐島出身の酒井圭一(元ヤクルト)、鹿児島・喜界島出身の高橋英樹(元広島)がいる。現役では中日・大嶺祐太、西武・平良海馬が沖縄・石垣島出身。〝離島〟ではないが山口・周防大島の日本ハム・清水優心、兵庫・淡路島の阪神・近本光司や西武・増田達至らもいる。楽天D4位指名の泰勝利(神村学園高)は鹿児島・奄美大島出身。