ギャラドスを剣に見立てて突きのポーズを取る見延隊長。(左から)ミュウツー、カメックスにも思い入れがある(撮影・加藤圭祐)
撮影に応じる見延和靖 =東京都中央区(撮影・加藤圭祐)

GPS(位置情報)を利用したスマホ向け人気ゲーム『ポケモンGO』の魅力を多角的に調査する特別連載の最終回。東京五輪金メダリストが3週連続で務める調査隊最後の隊長は、フェンシング男子エペ団体の見延和靖(34)=ネクサス。4人の力を集結して頂点に立ったフェンサーらしく、ゲームで勝つための秘訣(ひけつ)を熱弁。5年前にチームメイトと初めてポケモンをゲットした際のエピソードも明かした。(取材構成・角かずみ、武田千怜)

一瞬の隙を突いて得点を奪う試合中からは想像もできない柔和な表情を終始浮かべていた。見延隊長が、フェンシングとポケGOに共通する勝利への道を熱く語った。

「フェンシングもポケGOも勝ち方に気がつくまで試行錯誤を続け、諦めずに続けられるかどうかだと思う。すぐにはきっと強くなれない。1日1日で見たら強くなったという実感がなくても、ある日、1年とか半年とかを振り返ってみたら、成長したなと感じる瞬間がある。諦めずに続けていくことが大切です」

ポケGOとの出会いは2016年。同年のリオデジャネイロ五輪前に米ニューヨーク州で行った直前合宿だった。配信直後にチームメート全員でダウンロード。「確か言い出したのは宇山だったかな」。記憶は定かではないが、東京五輪でも大活躍した宇山が先頭に立ち、メンバーに「各大陸のポケモンを捕まえるぞ」と呼びかけた。

狙うのは地域限定ポケモン。ニューヨークにいた見延隊長らは、休日を利用して、北米でしか出現しない、あばれうしポケモン「ケンタロス」を探しに全員でセントラルパークまで足を伸ばした。そこでゲットしたケンタロスは、現在も「相棒」にしており、姿を見るたびに当時を思い出すという。

インタビューに応じる見延和靖 =東京都中央区(撮影・加藤圭祐)

東京五輪中、日本チームは「エペ陣」と「ジーンと感動させる」をかけた「エペジーーン」を合言葉に戦っていた。チームの団結力を高めるきっかけとなったニューヨーク州での〝ポケ活〟から5年後に日本史上初の金メダルを獲得。「みんなで始めて、みんなで捕まえた。捕まえたときはポケジーンとしました」と、感慨深げに当時を振り返った。

五輪当時、日本の世界ランキングは8位だったが、大逆転で頂点に立った。見延隊長はその理由に「4人の個性」を挙げ、それぞれをポケモンにたとえた。

小さくて素早い加納虹輝(こうき、24)=JAL=は、ねずみポケモン「ピカチュウ」。身長190センチで、長い手足から繰り出すトリッキーさが武器の宇山賢(30)=三菱電機=は、やしのみポケモン「ナッシー(アローラのすがた)」。ジッと獲物を狙い腕のこてを突くのが得意な山田優(27)=自衛隊=はシャムネコポケモン「ペルシアン」。そしてチームの精神的支柱であり先頭に立って戦ってきた自身を、かいりきポケモン「ゴーリキー」にイメージを重ねた。

「4通りの対策をしなければならないので、相手にとってもやっかいだったと思う。タイプの違いが強さになるのは、ポケGOも一緒です」。さまざまなタイプがいることが、フェンシングの団体でもポケGOのバトルでも強みになると強調した。

3年後の24年パリ五輪で目指すのは個人と団体の2冠。ポケGOとともに勝利の道を追及する。

★2020東京五輪金メダルVTR 第1回大会の1896年アテネ五輪から続く伝統競技。種目は「エペ」が全身、「フルーレ」が背中を含む胴体、「サーブル」が頭部と両腕を含めた上半身と有効面で分かれる。世界ランク8位の日本男子エペ団体は東京五輪に開催国枠で出場。見延、山田、加納、宇山の布陣で臨み、決勝トーナメント1回戦の米国戦では最大8点差を逆転勝ちした。準々決勝では、世界1位で3連覇中のフランスを大接戦の末に撃破。決勝ではROC(ロシア・オリンピック委員会)を45―36で下し、日本フェンシング界初の金メダルに輝いた。

東京五輪2020、フェンシング男子エペ団体で金メダル(共同)

★近況 東京五輪後、鼠径(そけい)ヘルニアの手術を受け、リハビリをしながら徐々に競技に復帰。11月中旬にはスイスでのワールドカップに参戦し、個人36位だった。2024年パリ五輪も目指す意向で「団体2連覇、個人でも金メダルで2冠を達成できるように頑張る」と意欲を新たにしている。

★イベント情報 ポケGOでは現在、ウィンターイベント(ホリデーイベント)を開催中。31日午後8時までの期間中はホリデーのコスチュームを着たポケモンが6匹出現する。ねずみポケモン「ピカチュウ」は赤い帽子をかぶり、おおツノポケモン「オドシシ」はベル付きの姿。てたたきポケモン「タマザラシ」はマフラーを巻いており、はこびやポケモン「デリバード」とひょうけつポケモン「クマシュン」はリボンを着けている。この5匹は野生で出会えるが、ケープ姿のしんせつポケモン「グレイシア」だけはレイドバトルでゲットする必要がある。

■見延和靖(みのべ・かずやす) 1987(昭和62)年7月15日生まれ、34歳。福井・越前市出身。武生商高-法大。高校時代に父のすすめでフェンシングを始める。2015年に日本勢としてW杯初優勝。同年の全日本選手権を初制覇。16年リオデジャネイロ五輪個人エペ男子6位。18-19年シーズンはW杯1勝、グランプリ大会2勝。世界ランキング1位となり、日本勢史上初の年間王者に輝いた。177センチ、75キロ。

この記事をシェアする