漱石が来て 虚子がきて 大三十日(おおみそか)…(子規)という句がありますが、へぇーすごいなぁ、あの漱石が「おい、いるか?」とたずねてくる…続いて高浜虚子が「ヒマか?」とガラリと玄関をあけて…というのはすごい。
誰だって大みそかはとても忙しいのは昔の話。大掃除におせちの準備…それも現在はスーパーへいけばセットになって売っているから、あとはテレビを見て早めの晩酌。その大晦日が充実している人はレッキとしたお仕事のある方で、それはある意味『幸せのバロメーター』なのです。イイ歳した文豪や俳人が行くところがなくて、子規の家を尋ねてくるなんてのは切ない。だから高浜虚子は「年惜しむ 心うれひに 変わりけり…」なんて詠んでいる。
でありますから、本日も朝からてんてこ舞いのみなさまはそれなりに必要とされているわけでして、漱石とか虚子よりは幸せなんですゾ。
さて、この日(30日)出勤している野球デスクは堀啓介。虎番では高瀬悟嗣が今成亮太選手の『野球教室』を追って埼玉・富士見高に出かけた。こんなギリギリまで子供たちは「本物のプロ選手が来る」というのでワクワクしてまっていて、高瀬は「今成選手は本当に子供を教えるのがうまい。それにやさしい。同時に少年野球の指導者の方にも丁寧に、わかりやすく指導しているんです。こっちまで気持ちが明るくなります」。
で、キミの仕事は年内はこれで終わりか? といったら「いえ、大みそかも出勤です。何か事件があったら…すぐ突撃取材なんです」。するとお正月は? 「元旦からちょこっと渥美半島の実家に…いわば子供たちのお年玉集金旅行ではありますが…」だって。つまり最初に書きましたが、大みそかに出勤のみなさまは、その後に楽しいお正月が待っているというわけです。
それで思い出したのです。2012年9月12日。金本監督が現役を引退の覚悟を決めた会見で、はらはらと落涙し、その涙をぬぐおうともせずにこう残念がったのであります。
「この3年間、みじめで、みっともなくて、(まだ現役を)やりたい、辞めたいの繰り返しでした」と絶句。そして彼はこう続けた。
「若い時にもっともっと練習しておけばよかった…」
10月9日、甲子園最終戦が彼の現役最後のプレーとなった。ナインから胴上げされて、4万7106人の大観衆の前で彼は胸の奥から声をしぼりだした。「阪神ファンは温かかったです。本当に夢をありがとうございました。野球の神様ありがとうございました!」
こんな飾り気のないきれいな言葉こそ、あきれるほど練習の虫、頑張り屋の男だからこそ言えるのだ。
その男が、あと1日でやってくる2017年に監督2年目に『挑む』のだ。彼を待っているものは何だろう。虎番キャップにデスクと、この1年めまぐるしく変化して、この日の当番デスク席にいた堀啓介は短くポツリとこう言った。「来年も試練は待っているでしょう。変革はそんな簡単なものじゃない。でも、金本監督なら乗り越えてくれると思います」…。