さっそうとした身のこなしは建設現場仕込み? 18日に打ち上げられた巨人の宮崎秋季キャンプで、育成選手の増田大輝内野手(23)の存在感が際立っていた。守備位置は主に遊撃と二塁。軽やかな足運び、素早く正確なグラブ裁きが光った。
連日、ノックのシャワーを浴びせた守備の名手、井端弘和内野守備走塁コーチ(41)が「言ったことをすぐ理解して体現できる。守備でいいものは持っている」と素質を認めた。打撃練習ではバントのうまさを披露するなど、23歳にして職人肌のプレーが持ち味。実際、プロ入り前は本当に「職人」だった。
徳島・小松島高から近大へ進学。2013年、一身上の都合で2年生の5月に中退した。プロになる夢はあきらめ、徳島の実家に戻った。その後の道筋を考えていなかった増田は友人の誘いで地元の建設会社に入り、とび職を始めた。
「あのニッカーボッカーを履いて働いていました。もともと、高いところは苦手じゃなかったですけど、頭も体も使うので、めちゃくちゃキツかったですね」
優しくも厳しい先輩、親方の指導を受けながら、15階建ての高層建物や吉野川をまたぐ橋に上った。命綱はあっても、小さなミスは命取りになる。今でも忘れられない人生最大の危機もあった。
「1回、落ちかけたんです…」
吉野川の橋で作業していたときだ。足下の敷板の端っこに立った瞬間、グラリ。敷板が大きく傾き、下を向くとかなり遠くに水面が見えた。