「リーチがある打者には拾われてしまう。『より厳しく』と思って投げました。極端にワンバウンドさせるくらいで」
打者の軸足を狙ったわけではない。それでも、近い感覚は持っていた。意識を明確にする方法論が前田の「バックフット」。縦にも横にも鋭い変化が求められるが、キレのあるスライダーを操る虎のエースなら修得できる。決め球として精度を高めれば、代表入りを狙う来年3月のWBCはもちろん、国内での戦いにも必ず生きる技だ。
この日タテジマに戻った右腕は鳴尾浜で練習を続ける。反省と収穫を踏まえて来季のイメージを作り上げるが、貴重な手土産を持ち帰った。
「いい勉強になりました。いろいろな人の話も聞けましたし」
見て、聞いて、一流選手から学んだ。最大の財産は自ら投じ、肌で感じた1球。ひと冬を越え、進化する藤浪の投球術から目が離せない。 (安藤理)
★藤浪の侍ジャパン登板VTR
12日のオランダ戦(東京D)、2番手で五回から登板。先頭の3番・デカスターは味方の失策で出塁。続く4番・サムスに左中間へ本塁打を浴びた。その裏に打線が6点を奪って逆転。六回は三者凡退に仕留め、七回には19歳でメジャーデビューを果たした先頭の2番・プロファー(レンジャーズ)をスライダーで空振り三振。その後、安打を許すが、一発を浴びたサムスを空振り三振。5番・ザラーガも二ゴロに仕留め、3回2失点(自責1)で降板。試合後、左打者のひざ元から曲げる得意のスライダーに対し「あそこはポイント。効果的に使えたら」と手応えをつかんでいた。