持ち前の俊足を飛ばす必要はない。オコエが放物線を見つめながら、悠然と走り出した。プロ初アーチは、打った瞬間にスタンドインを確信する特大の一発だった。
「強い打球を飛ばすことを心がけていた。本当にうれしいです」
敵地ハマスタの2万8942観衆がどよめく中、三塁ベンチでは飛び跳ねながらハイタッチ。無邪気に喜びを表し、満面の笑みを浮かべた。
1-0の三回。相手は試合の前までリーグ2位の防御率2・10を誇り、5連勝中だったD1位・今永(駒大)。一回の第1打席は3球全て速球で右飛に倒れていた。「直球に絞っていた」という読みで138キロの初球を左中間席中段へ運び、ドラ1対決を制した。新人の本塁打は今季5人目。高卒では1番乗りのアーチとなった。
人気先行-。そんな評価を覆す上昇ぶりだ。楽天では史上初となる高卒野手の開幕1軍を果たしたが、4月14日に出場選手登録を外れた。2軍では下半身を中心に鍛え、米大リーグ、マーリンズのイチロー外野手(42)が取り組む初動負荷理論に基づいたトレーニングを導入した。
構えのグリップの位置を下げるなど、打撃フォームも試行錯誤した。結果、スイングスピードは2月の128キロから156キロと飛躍的にアップ。5月29日に1軍に再昇格してからは「速球をしっかりとらえられることが多くなった」という。